土地工作物責任に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
- 建物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、一次的には所有者が土地工作物責任を負い、所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、占有者が土地工作物責任を負う。
- 建物の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、占有者として土地工作物責任を負うことがある。
- 建物に建築基準法違反があることによって他人に損害を生じたときは、建設業者が損害賠償責任を負うのであって、建物の所有者及び占有者は土地工作物責任を負わない。
- 設置の瑕疵とは、設置当初から欠陥がある場合をいい、保存の瑕疵とは、設置当初は欠陥がなかったが、設置後の維持管理の過程において欠陥が生じた場合をいう。
- ア、ウ
- イ、ウ
- イ、エ
- ア、エ
【答え:3(イ・エが適切)】
ア.建物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、一次的には所有者が土地工作物責任を負い、所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、占有者が土地工作物責任を負う。
ア・・・不適切
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵が原因で、他人に損害を生じたとき、誰が賠償責任を負うかについては、下記順番で考えます(民法717条:土地工作物責任)。(建物も土地の工作物に含まれます。)- 占有者が、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていなかったときは、占有者が賠償責任を負う。
- 占有者が、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、所有者が賠償責任を負う。この場合、所有者は無過失責任なので、必要な注意をしていたとしても、賠償責任を負う。
本肢は、不適切です。本肢は「所有者」と「占有者」の順が逆です。正しく言い換えると次の通りです。
建物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、一次的には占有者が土地工作物責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が土地工作物責任を負う。
イ.建物の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、占有者として土地工作物責任を負うことがある。
イ・・・適切
賃貸住宅の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上支配することができる場合、占有者とみなされることがあり、結果として、土地工作物責任を負うことがあります。
ウ.建物に建築基準法違反があることによって他人に損害を生じたときは、建設業者が損害賠償責任を負うのであって、建物の所有者及び占有者は土地工作物責任を負わない。
ウ・・・不適切
「建物に建築基準法違反があることによって他人に損害を生じたとき」とは、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵が原因で、他人に損害を生じたとき」です。つまり、選択肢アの解説(民法717条)の通り、建物の所有者又は占有者が土地工作物責任を負います。 本肢は関連ポイントも重要なので、関連ポイントは個別指導で解説します!
エ.設置の瑕疵とは、設置当初から欠陥がある場合をいい、保存の瑕疵とは、設置当初は欠陥がなかったが、設置後の維持管理の過程において欠陥が生じた場合をいう。
エ・・・適切
土地の工作物の設置の瑕疵又は保存の瑕疵が原因で、他人に損害を生じた場合、建物の所有者又は占有者が賠償責任を負います(民法717条:土地工作物責任)。
そして、設置の瑕疵とは、設置当初から欠陥がある場合をいいます。
一方、保存の瑕疵とは、設置当初は欠陥がなかったが、設置後の維持管理の過程において欠陥が生じた場合をいいます。よって、本肢は適切です。
令和3年・2021年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 賃貸住宅管理業法
- 問2
- 賃貸住宅管理業法
- 問3
- 賃貸住宅管理業法
- 問4
- 賃貸住宅管理業法
- 問5
- 賃貸住宅標準管理受託契約書
- 問6
- 賃貸住宅の管理
- 問7
- 賃貸住宅の管理
- 問8
- 民法
- 問9
- 原状回復ガイドライン
- 問10
- 原状回復ガイドライン
- 問11
- 防犯配慮設計指針
- 問12
- 建築基準法(単体規定)
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- 問17
- 建物の修繕
- 問18
- 建物設備(給水設備・給湯設備)
- 問19
- 建物設備(換気設備)
- 問20
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- 問21
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- 問22
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- 問24
- 賃貸借(建物賃貸借)
- 問25
- 賃貸借(建物賃貸借)
- 問26
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- 問27
- 賃貸借・保証
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- 問29
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