- Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けていれば、賃貸人たる地位はCに移転する。
- Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けている場合に、AC間で賃貸人の地位をAに留保し、かつCがAに甲建物を賃貸する旨の合意をすれば、Bの承諾がなくても、賃貸人の地位はAに留保される。
- Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けている場合に、所有権移転登記を経由していないCから甲建物の賃料の支払を求められても、Bは支払を拒むことができる。
- Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けておらず、かつ賃貸借の登記も経由していない場合に、AC間で賃貸人の地位を移転することにつき合意しても、Bの承諾がなければ、賃貸人の地位はCに移転しない。
1・・・正しい
賃貸借の対抗要件を備えた場合(借主Bが引き渡しを受けた場合)において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転します(民法605条の2第1項)。本肢はこの内容です。甲建物がCに譲渡(売却)される前に、借主Bは引き渡しを受けています(対抗要件を備えている)。そのため、「賃貸人の地位」は、Aから新所有者C(譲受人)に移転します。
2・・・正しい
③貸主Aが甲建物を譲渡する前に、②借主Bが貸主Aから引渡しを受けている場合に、④AC間で賃貸人の地位をAに留保し、かつ新所有者CがAに甲建物を賃貸する旨の合意をすれば、Bの承諾がなくても、賃貸人の地位はAに留保されます(民法605条の2第2項)。つまり、賃貸不動産をCに譲渡しても、そのままAが賃貸人として、AB間の賃貸借契約が存続するということです。
3・・・正しい
借主が賃貸借契約の対抗要件を備えた後に、賃貸借の目的である不動産を譲り受けた者Cは、所有権移転登記をした後に、賃借人に所有者であることを対抗することができます(民法605条の2第3項)。つまり、新所有者Cが所有権移転登記をしていない場合、借主Bが新所有者Cから甲建物の賃料の支払を求められても、借主Bは賃料の支払を拒むことができます。
4・・・誤り
本肢は「貸主Aが甲建物を譲渡する前に借主BがAから引渡しを受けておらず、かつ賃貸借の登記も経由していない場合」なので、借主Bは、対抗要件を備えていません。
この場合、貸主Aが、甲建物(賃貸不動産)を新所有者Cに譲渡したとしても、当然には賃貸人の地位の移転は生じません。ただし、譲渡人Aと譲受人Cとの間で合意をすれば、賃借人の承諾なく、貸主の地位を移転することができます(最判昭46.4.23)。
よって、本肢は誤りです。本肢を正しく修正すると「貸主Aが甲建物を譲渡する前に借主BがAから引渡しを受けておらず、かつ賃貸借の登記も経由していない場合に、AC間で賃貸人の地位を移転することにつき合意しても、Bの承諾がなくとも、賃貸人の地位は新所有者Cに移転する。」となります。
令和3年・2021年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 賃貸住宅管理業法
- 問2
- 賃貸住宅管理業法
- 問3
- 賃貸住宅管理業法
- 問4
- 賃貸住宅管理業法
- 問5
- 賃貸住宅標準管理受託契約書
- 問6
- 賃貸住宅の管理
- 問7
- 賃貸住宅の管理
- 問8
- 民法
- 問9
- 原状回復ガイドライン
- 問10
- 原状回復ガイドライン
- 問11
- 防犯配慮設計指針
- 問12
- 建築基準法(単体規定)
- 問13
- 耐震改修
- 問14
- 修繕履歴情報
- 問15
- 建物の維持保全
- 問16
- 建物設備(屋上・外壁)
- 問17
- 建物の修繕
- 問18
- 建物設備(給水設備・給湯設備)
- 問19
- 建物設備(換気設備)
- 問20
- 賃貸借(敷金)
- 問21
- 賃貸借(賃料増減核請求)
- 問22
- 賃貸借(賃料回収・明渡し)
- 問23
- 賃貸借(賃貸住宅標準契約書)
- 問24
- 賃貸借(建物賃貸借)
- 問25
- 賃貸借(建物賃貸借)
- 問26
- 賃貸借(定期建物賃貸借)
- 問27
- 賃貸借・保証
- 問28
- 賃貸借(所有権の移転)
- 問29
- 賃貸住宅管理業法
- 問30
- 賃貸住宅管理業法
- 問31
- 賃貸住宅管理業法
- 問32
- 賃貸住宅管理業法
- 問33
- 特定賃貸借標準契約書
- 問34
- 特定賃貸借標準契約書
- 問35
- 特定賃貸借標準契約書
- 問36
- 特定転貸事業者
- 問37
- 特定転貸事業者
- 問38
- 特定転貸事業者
- 問39
- 特定転貸事業者
- 問40
- 特定転貸事業者
- 問41
- 特定転貸事業者
- 問42
- 賃貸住宅管理業法
- 問43
- 賃貸不動産経営管理士
- 問44
- 宅地建物取引業法
- 問45
- 税金
- 問46
- 賃貸住宅
- 問47
- 業務上の関連法令
- 問48
- 賃貸不動産経営管理士
- 問49
- 保険
- 問50
- 不動産賃貸経営