- 成年被後見人である賃貸人が賃貸借契約を締結した場合において、締結時に賃貸人の判断能力が回復していたとしても、家庭裁判所により後見開始の審判が取り消されていなければ、成年後見人は、賃貸人本人が3か月前に締結した賃貸借契約を取り消すことができる。
- 賃貸人が意思無能力の場合、賃借人が賃貸借契約の解除の意思表示をするために必要なときは、賃借人は、利害関係人として、家庭裁判所に賃貸人の後見開始の審判を請求することができる。
- 成年被後見人である賃貸人が、契約期間を2年とする定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、成年後見人の同意を得て、賃貸人本人が賃貸借契約を締結することができる。
- 賃貸人の後見開始の審判がなされたときは、成年後見人は、その審判を理由として、存続中の賃貸借契約を取り消すことができる。
民法では、成年被後見人が行った法律行為は、原則としていつでも取り消すことができます(民法第9条)。
ここで重要なのは、法律が「個別の判断能力」ではなく、「家庭裁判所の審判(ステータス)」を重視している点です。
もし、その時々の判断能力で契約の有効・無効が決まってしまうと、取引の相手方は「今のこの人はしっかりしているのか?」を毎回医学的に判定しなければならず、取引が非常に不安定になります。
そのため、原則、審判が取り消されない限り、法律上は「成年被後見人」として扱われます。
ただし例外として、「日用品の購入(お惣菜を買う、電車に乗るなど)」だけは、本人の意思を尊重し、取り消すことができません。
賃貸借契約は日用品の購入には当たらないため、取消しの対象です。
ちなみに、後見開始の審判が取り消されるためには、家庭裁判所での手続きが必要です。
「本人が元気になったから」という事実だけでは、法律上の制限は解除されません。
「後見開始の審判」は、本人の私生活や財産管理に非常に大きな制限をかける強力な手続きです。
そのため、本人と密接な関係にある者にしか申し立てが認められていません。
認められる人: 本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人(監督人)、保佐人(監督人)、補助人(監督人)、検察官。
認められない人: 賃借人、知人、友人、事実婚のパートナーなど。
解説文にある通り、賃借人は民法7条に規定された「申立権者」に含まれていません。
不動産実務において、契約の相手方が意思無能力(認知症が進行している等)で手続きが進まない場合、賃借人は「検察官」に状況を説明して申し立てを促すか、市町村長による申し立て(老人福祉法に基づく)を期待する形になります。
成年被後見人は、精神上の障害により「事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と定義されています。つまり、自分一人で判断することが極めて困難な状態です。
そんな状態の人に対して、後見人が「同意」を与えて本人に契約をさせてしまうと、本人が内容を正しく理解できずに不利益を被るリスクが高すぎます。 そのため、法律は「本人がやるのではなく、後見人が代わりに(代理して)やりなさい」というスタンスをとっています。
問題文にある「期間2年の定期建物賃貸借契約」であっても、ルールは同じです。
本人が締結: 後見人の同意があっても、後で取り消されるリスクがある(または有効に成立しない)。
後見人が締結: 成年後見人が本人を「代理」して契約書に署名捺印します。これが正解です。
民法第9条で取り消すことができるのは、あくまで「成年被後見人がした」法律行為です。
契約時: まだ成年被後見人ではなかった(普通の人だった)。
契約後: 認知症などが進行し、後見開始の審判を受けた。
この場合、契約を結んだ時点では本人に完全な判断能力があった(とみなされる)ため、その契約は有効に成立しています。後見人は、その有効な契約を引き継いで管理する立場に立つだけであり、「後見が始まったこと」自体を理由に契約を取り消す権限はありません。
もし、契約を結んだ時点ですでに重度の認知症などで「意思能力」がなかった(=自分が何をしているか分かっていなかった)場合は、後見開始の審判の有無にかかわらず、その契約は「無効」となります。ただし、これは「取消し」ではなく「最初から効力がない(無効)」という別の議論になります。
令和7年・2025年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 成年被後見人
- 問2
- サブリース
- 問3
- 賃貸借
- 問4
- 定期建物賃貸借契約
- 問5
- 賃貸借契約
- 問6
- 建物賃貸借
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 賃貸住宅管理業法
- 問9
- 賃貸住宅管理業法
- 問10
- 賃貸住宅管理業法
- 問11
- 賃貸住宅管理業法
- 問12
- 委任契約
- 問13
- 賃貸住宅管理業法
- 問14
- 賃貸住宅管理業法
- 問15
- 賃貸住宅管理業法
- 問16
- 賃貸住宅管理業法
- 問17
- 賃貸住宅管理業法
- 問18
- 賃貸住宅管理業法
- 問19
- 賃貸住宅管理業法
- 問20
- 賃貸住宅管理業法
- 問21
- 賃貸住宅管理業法
- 問22
- 障害を理由とする差別解消の推進法
- 問23
- 住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者)
- 問24
- 個人情報保護法
- 問25
- 賃貸住宅管理業法
- 問26
- 設備
- 問27
- 相隣関係
- 問28
- 建物賃貸借
- 問29
- 借地借家法
- 問30
- 金銭管理
- 問31
- 金銭管理
- 問32
- 原状回復ガイドライン
- 問33
- 原状回復ガイドライン
- 問34
- 金銭管理
- 問35
- 建物の構造
- 問36
- 鉄筋コンクリート造
- 問37
- 漏水
- 問38
- 防火管理
- 問39
- 給水設備
- 問40
- 登記
- 問41
- 土地の価格
- 問42
- 税金
- 問43
- 火災保険
- 問44
- 空家対策法
- 問45
- 賃貸管理士等の役割
- 問46
- 入居者の募集
- 問47
- 建築基準法
- 問48
- 駐車場・エレベーターの管理
- 問49
- 給湯設備
- 問50
- 統計

