- 賃貸借契約で定められた賃料の支払時期から10年が経過すれば、特段の手続きを要することなく、賃借人は賃料債務を免れる。
- 賃貸借契約で賃料の支払方法が持参払いと定められている場合で、賃貸人が賃料の増額を主張して賃料の受領を拒否しているときは、賃借人が従前の賃料額を賃貸人宅に持参し、賃貸人が受け取れる状況にすれば、賃貸人に受領を拒否された場合でも、賃借人は賃料債務を免れる。
- 賃貸借契約で賃料の支払方法が口座振込と定められている場合で、賃借人が賃貸人宅に賃料を持参したにもかかわらず、賃貸人が受領を拒否したときは、賃料を供託することが可能であり、供託により、賃借人は賃料債務を免れる。
- 賃貸借契約期間中であっても、賃貸人が、敷金の一部を賃借人の賃料債務に充当したときは、賃借人の承諾の有無にかかわらず、賃借人は、その分の賃料債務を免れる。
債権は、「①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」または「②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」に、時効によって消滅します(民法166条1項)。そのため、賃貸借契約で定められた賃料(賃料債権)も②の通り、支払い時期(権利行使できる時期)から10年間経過すると、賃料債権は消滅するため、賃借人の賃料債務も消滅します。しかし、時効消滅を主張するためには、「時効の援用」が必要です(民法145条)。よって、「特段の手続きを要することなく」が誤りです。「時効援用」は必要です。時効援用とは、「時効期間が過ぎたので、債権債務を消滅させます!」と主張することです。
賃借人が賃料債務を免れるための方法は2つあります。それは、「①弁済」するか「②供託」するかのいずれかです。本肢は、賃貸人に受領を拒否されているが、弁済も供託も行った旨の記述はありません。そのため、賃借人は、賃料債務を免れることができません。
ここは「理解すべき部分」と「関連ポイント」があるので、個別指導で解説します。
賃料の支払方法が口座振込と定められている場合、賃借人は、口座振込により賃料を払う義務があります。そのため、持参して賃貸人に拒否されたとしても、それを理由に供託することはできません。よって、誤りです。
敷金は、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生じる賃借人の債務を担保するための金銭です。そのため、賃貸借契約期間中であっても、賃貸人が(賃貸人の意思に基づいて)、敷金の一部を賃借人の賃料債務に充当することができます。この場合、賃借人の承諾は不要です。そして、敷金の一部を賃料債務に充当した(あてた)場合、その賃料債務は消滅するので、賃料は払ったことになります(民法622条の2)。本肢も試験に出題されそうな関連ポイントがあるので個別指導で解説します。
令和5年・2023年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 賃貸住宅管理業法
- 問2
- 賃貸住宅管理業法
- 問3
- 賃貸住宅管理業法
- 問4
- 賃貸住宅管理業法
- 問5
- 賃貸住宅管理業法
- 問6
- 建物設備
- 問7
- 賃貸借契約
- 問8
- 賃貸住宅管理業法
- 問9
- 原状回復ガイドライン
- 問10
- 原状回復ガイドライン
- 問11
- 原状回復ガイドライン
- 問12
- 建物設備
- 問13
- 建築基準法
- 問14
- 建物設備
- 問15
- 建物設備
- 問16
- 建物設備
- 問17
- 建物設備
- 問18
- 賃貸住宅管理業法
- 問19
- 賃貸借
- 問20
- 賃貸借
- 問21
- 賃貸借
- 問22
- 賃貸借
- 問23
- 賃貸借
- 問24
- 賃貸借
- 問25
- 賃貸借
- 問26
- 賃貸借
- 問27
- 賃貸住宅管理業法
- 問28
- 賃貸住宅管理業法
- 問29
- 賃貸住宅管理業法
- 問30
- 賃貸住宅管理業法
- 問31
- 賃貸住宅管理業法
- 問32
- 賃貸住宅管理業法
- 問33
- 特定転貸事業者
- 問34
- 特定転貸事業者
- 問35
- 特定転貸事業者
- 問36
- 特定転貸事業者
- 問37
- 特定転貸事業者
- 問38
- 特定転貸事業者
- 問39
- 管理受託契約
- 問40
- 死に関する告知
- 問41
- 借主の募集
- 問42
- 賃貸不動産経営管理士
- 問43
- 賃貸不動産経営管理士
- 問44
- 借主の募集
- 問45
- 税金
- 問46
- 建物管理
- 問47
- 建物管理
- 問48
- 建物管理
- 問49
- 税金
- 問50
- 証券化事業