敷金の取扱いに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
- 敷金は、賃貸借契約上賃借人が負うべき債務の担保として交付されるものであるが、賃貸借契約は継続しつつ、敷金契約を合意解約して敷金の返還をすることができる。
- 敷金は、賃貸借契約上賃借人が負うべき債務の担保として交付されるものであるから、賃貸借契約締結と同時に、または締結前に交付しなければならない。
- 賃貸借契約が終了したにもかかわらず賃借人の明渡しが遅延したことにより発生する賃料相当使用損害金は、賃貸借契約が終了した後に発生する債務であるため、敷金から差し引くことはできない。
- 敷金は、賃借人の債務を具体的に特定し、その債務に敷金を充当する旨の意思表示をしない限り、賃貸人はその全額を返還しなければならない。
【答え:1】
1.敷金は、賃貸借契約上賃借人が負うべき債務の担保として交付されるものであるが、賃貸借契約は継続しつつ、敷金契約を合意解約して敷金の返還をすることができる。
1・・・適切
敷金契約と賃貸借契約とは別個の契約です。そのため、賃貸借契約は継続しつつ、敷金契約のみを合意解除して敷金の返還をすることも可能です(最判昭53.12.22)。
2.敷金は、賃貸借契約上賃借人が負うべき債務の担保として交付されるものであるから、賃貸借契約締結と同時に、または締結前に交付しなければならない。
2・・・不適切
敷金は、必ずしも賃貸借契約締結と同時に交付する必要はなく、また、締結前に交付する必要もありません(最判昭53.12.22)。契約内容によっては、引き渡し後に敷金を交付する方法も有効です。
3.賃貸借契約が終了したにもかかわらず賃借人の明渡しが遅延したことにより発生する賃料相当使用損害金は、賃貸借契約が終了した後に発生する債務であるため、敷金から差し引くことはできない。
3・・・不適切
敷金は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに、それまでに生じた賃借人の債務(滞納家賃等)の残額を控除して返還するものとされています(民法622条の2)。したがって、明渡しが遅れたことによる賃料相当使用損害金(家賃分)も敷金から差し引くことが可能です。具体例は個別指導で解説します。
4.敷金は、賃借人の債務を具体的に特定し、その債務に敷金を充当する旨の意思表示をしない限り、賃貸人はその全額を返還しなければならない。
4・・・不適切
建物明渡し時に、賃借人の債務が残っている場合、債務を特定した上で、敷金は、当該債務に当然に(自動的に)充当されます。相殺のような敷金を充当する旨の意思表示は不要です(最判平14.3.28)。よって、本肢は、「債務に敷金を充当する旨の意思表示をしない限り、賃貸人はその全額を返還しなければならない」という記述は不適切です。「債務に敷金を充当する旨の意思表示をせずに、債務を差し引いた額を返還すればよい」とすれば適切な記述になります。これは、理解すべき部分です!内容としては簡単なので、個別指導では、分かりやすく解説します!
令和5年・2023年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 賃貸住宅管理業法
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- 賃貸住宅管理業法
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- 賃貸住宅管理業法
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- 賃貸住宅管理業法
- 問5
- 賃貸住宅管理業法
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- 建物設備
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- 賃貸借契約
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- 原状回復ガイドライン
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