漏水のもととなる水は、上水(給水・温水)・雑排水・汚水・雨水であり、「雨水の漏水」は、「その他の漏水」と発生源が異なります。
雨水の漏水
雨水による漏水は、最上階の場合、屋上や屋根・庇(ひさし)からの漏水であることが多く、中間階では、外壁や出窓やベランダからの浸水であることが多いです。
雨水漏水の発生源を特定することは、困難な場合が多く、「屋上や屋根からは防水部材の劣化や破損によって生じるもの」や、「コンクリート等の構造部材のクラックや破損によって生じるもの」、「雨水排水設備の不良等によって生じるもの」などが考えられます。いずれの場合も、部分補修で漏水を止めるのは難しく、場合によっては、防水の全面修理や排水設備のやり直しが必要な場合もあります。
外壁が、タイル張りの場合は、タイルの剥がれやクラック、目地やコーキングの劣化に起因する雨水の漏水が多いです。
出窓の場合は、出窓の屋根と外壁との取り合い箇所やサッシ周りが主な原因になることが多いです。
ベランダは、屋上のような完全防水でなく、ウレタンの塗膜等の比較的簡易な防水の場合が多いので、床表面を傷つけたり、破損することによって漏水が発生します。
レンジフード、浴室、トイレの換気扇の排気口からの雨水の浸入による漏水もあります。
雨水以外の漏水
配管からの漏水
雨水以外の漏水では、まず、漏水している水の種類を特定する必要があります。雨水以外の漏水の発生源は、入居者の過失や不注意による水漏れを除けば、「給水・排水配管からの漏水」と考えられるからです。
配管からの漏水の場合、「パイプシャフト内の配管」や「室内に露出している部分」に漏水箇所が発見できなければ、「床下やスラブの埋設配管」、「壁の内側に隠れた配管」等からの漏水を疑う必要があります。この場合、床や壁まで壊さないと漏水箇所を見つけることはできません。
「スラブ」とは、鉄筋コンクリート造(RC造)の床や屋根のことで、ここに配管が埋まっている場合があります。
給水管からの漏水か否かを調べる場合は、水栓をすべて止め、給水メーターの動きを見ることにより判断することができます。また、マンション等の場合、漏水の発生源は、被害の生じた部屋の上階が多いことから、上階部屋や横系統バルブ(仕切弁)を閉めて給水を遮断して、発生源を特定します。
このほかにも、給水管の保温不足による結露を原因とする水漏れがあります。
築年の古い建物では、床スラブや界壁等コンクリートのなかに配管が埋設されていることがあり、その場合、配管の状態を調査するためにはコンクリートを壊さざるを得ないです。
これら漏水事故に対し、工事費用や入居者等への損害金の支払いについて、損害保険により補填することは可能であるが、設備や配管の劣化が原因の場合は保険の対象外なので注意が必要です。
室内の漏水
トイレやキッチンは、多くの場合、ほぼ防水されていないので、洗濯機を溢れさせたり、流し台や洗面台の排水ホースが外れたりしていると、下の階へ水漏れを起こす場合があります。また、配管からの水漏れやトイレの詰まりを放置すると下階へ漏水することになります。
ベランダと部屋との境(壁の立上り部分)は高くないので、大雨のとき、ベランダからの浸水に注意することも必要です。