賃貸不動産経営管理士試験の過去問の解説を毎日3問、メールでお届けでします。
     

賃貸の媒介報酬(仲介手数料)の上限は?居住用0.55か月・店舗の計算例|宅建業法

【結論】賃貸の仲介手数料(媒介報酬)の上限

上限=貸主と借主から合わせて賃料の1か月分+消費税(1.1か月分)
居住用建物は、承諾がなければ片方から0.55か月分まで

  • 居住用建物(承諾なし):貸主から0.55か月分、借主から0.55か月分まで
  • 居住用建物(承諾あり):承諾した一方から1.1か月分まで受け取れる。その場合、もう一方からは受け取れない
  • 事務所・店舗・土地:一方から1.1か月分まで受け取れる(貸主と借主に分けてもよい)。合計は1.1か月分まで

賃料10万円(税別)の場合の早見表

  • 居住用・承諾なし:貸主5.5万円+借主5.5万円=合計11万円まで
  • 居住用・借主の承諾あり:借主11万円+貸主0円=合計11万円まで
  • 事務所・店舗:配分は自由(例:貸主3万円+借主8万円)。ただし合計は11万円まで

試験直前に押さえるひっかけポイント

  • 承諾は、媒介の依頼を受ける時点で得ておく必要がある(契約が成立した後に取った承諾は使えない)
  • 宅建業者が複数かかわっても、全員の報酬を合わせて1.1か月分が上限(業者ごとに1.1か月分ずつ受け取れるわけではない)
  • 居住用建物以外で権利金(返還されないもの)の授受があるときは、権利金の額を売買代金とみなして報酬を計算することもできる。居住用建物には、この計算方法は使えない

結論:賃貸の仲介手数料の上限は原則 賃料の0.5ヶ月分+消費税(税込0.55ヶ月分)

居住用建物の賃貸借における媒介報酬は、宅建業法第46条および国土交通省告示により、依頼者の一方から受領できる額が賃料の0.5ヶ月分(税別)に制限されています。依頼者の承諾がある場合に限り、一方から最大1ヶ月分+消費税まで受領可能です。

  • 居住用建物:原則0.5ヶ月分+税/承諾ありで一方から1ヶ月分+税
  • 事務所・土地等:一方から1ヶ月分+税まで受領可
  • 共通ルール:宅建業者全体の報酬合計は賃料の1ヶ月分+税が上限

この報酬額の計算ルールは賃貸不動産経営管理士試験の頻出論点であり、宅建試験との重複範囲でもあります。ダブル受験を目指す方は、宅建の学習知識をそのまま活かせるテーマです。

仲介手数料 賃貸の上限とは

居住用建物の賃貸借における仲介手数料(媒介報酬)の上限は、原則として賃料の0.55ヶ月分(税込)です。これは宅地建物取引業法(宅建業法)第46条および国土交通省告示に基づく法定上限であり、宅建業者が依頼者の一方から受領できる報酬額の原則的な制限を意味します。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 依頼者の承諾がある場合:承諾した一方から賃料の1.1ヶ月分(税込)まで受領可能
  • 居住用建物以外(事務所・土地等)の場合:依頼者の一方から賃料の1.1ヶ月分(税込)まで受領可能
  • いずれの場合も:宅建業者全体の報酬合計額は賃料の1.1ヶ月分(税込)が上限

賃貸不動産経営管理士試験では、この報酬額の計算ルールが頻出テーマです。以下で「居住用」と「居住用以外」の場合に分けて、具体例とともに詳しく解説します。

賃貸住宅における宅地建物取引業法が定める報酬額

宅地建物取引業者たる管理業者が賃貸住宅管理において、賃貸人を代理・媒介して入居者(賃借人)募集業務(以下、「募集業務」という)を行う場合、その業務には宅地建物取引業法が適用されるため、原則として賃貸借契約の両当事者から受け取ることのできる報酬の合計額は、賃料の1か月分の1.1倍に相当する額が上限となります。そして、居住用建物の場合は、賃借人と賃貸人それぞれから受け取ることのできる額は、原則、月額賃料の0.55倍に相当する額までです。ただし、賃借人または賃貸人のどちらかの承諾がある場合は、承諾した一方から1か月分の1.1倍に相当する額を受領することができます。この場合、もう一方からは媒介報酬を受領することはできません。

分かりやすくいうと、下記条件を満たすように、報酬(仲介手数料)を受領しなければならないということです。

まず、「居住用建物以外(土地や事務所)の賃貸借契約」と「居住用建物の賃貸借契約」に分けて考えます。

居住用建物以外(土地や事務所)の賃貸借契約の場合

  1. 依頼者の一方から受領できる報酬の上限は、賃料の1か月分+消費税(=賃料の1.1か月分)が上限
  2. 宅建業者全体として受領できる報酬額の合計額の上限は、賃料の1か月分+消費税(=賃料の1.1か月分)が上限

この2つの上限を満たせば、宅建業法違反とはなりません。一つでも満たさない場合、宅建業法違反となります。

【具体例1】 宅建業者Aが貸主から事務所の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。一方、宅建業者Bが借主から事務所の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。賃料が10万円だった。
この場合、宅建業者Aが貸主から11万円の報酬を受領するとき、宅建業者Bは、1円も借主から報酬を受領することができません。なぜなら、条件2から、「宅建業者全体として受領できる報酬額の合計額の上限は、賃料の1か月分+消費税が上限」なので、宅建業者全体として受領できる報酬額の合計額の上限は、賃料の1.1か月分(11万円)です。今回、宅建業者Aが11万円を受領しているので、宅建業者Bが借主から1円の報酬を受領した場合、条件2を満たさなくなるので、宅建業者Bは報酬を受領することができません。

【具体例2】 宅建業者Aが貸主から事務所の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。一方、宅建業者Bが借主から事務所の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。賃料が10万円だった。(ここまでは具体例1と同じ)
この場合、宅建業者Aが貸主から55000円の報酬を受領するとき合、宅建業者Bは、借主から55000円までであれば報酬を受領することができます。これであれば、条件1も2も満たします。

具体的に、宅建業者がどのような配分で報酬額を受領するかは、宅建業者の話し合いによって決め、かつ、依頼者と媒介契約を締結することで決められます。

居住用建物の賃貸借契約の場合

  1. 依頼者の一方から受領できる報酬の上限は、原則、賃料の0.5か月分+消費税(=賃料の0.55か月分)が上限。ただし、依頼者から承諾を受ければ、賃料の1か月分+消費税(=賃料の1.1か月分)を上限に報酬を受領できる
  2. 宅建業者全体として受領できる報酬額の合計額の上限は、賃料の1か月分+消費税(=賃料の1.1か月分)が上限

【具体例3】 宅建業者Aが貸主から居住用建物の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。一方、宅建業者Bが借主から居住用建物の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。賃料が10万円だった。
この場合、宅建業者Aが貸主から、「11万円の報酬の承諾」を受けた上で。11万円の報酬を受領するとき、宅建業者Bは、1円も借主から報酬を受領することができません。考え方は、具体例1と同じです。条件2から、「宅建業者全体として受領できる報酬額の合計額の上限は、賃料の1か月分+消費税が上限」なので、宅建業者全体として受領できる報酬額の合計額の上限は、賃料の1.1か月分(11万円)です。今回、宅建業者Aが11万円を受領しているので、宅建業者Bが借主から1円の報酬を受領した場合、条件2を満たさなくなるので、宅建業者Bは報酬を受領することができません。

【具体例4】 宅建業者Aが貸主から居住用建物の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。一方、宅建業者Bが借主から居住用建物の賃貸借契約の媒介の依頼を受けた。賃料が10万円だった。(ここまでは具体例1と同じ)
この場合、宅建業者Aが貸主から55000円の報酬を受領するとき合、宅建業者Bは、借主から55000円までであれば報酬を受領することができます。これであれば、条件1も2も満たします。

注意点

管理業者が賃貸住宅の募集業務を行ったものの、賃貸人と賃借人の間で賃貸借契約が成立しなかった場合、管理業者は、報酬を受け取ることができない。募集業務の報酬は、成功報酬です。

仲介手数料の計算早見表【売買・賃貸別】

賃貸不動産経営管理士試験では、賃貸借だけでなく売買の報酬額計算も問われることがあります。以下の早見表で、取引種別ごとの上限額を整理しておきましょう。

売買の媒介報酬(速算式)

売買代金(税抜)報酬上限の速算式(税抜)税込換算
200万円以下代金 × 5%代金 × 5.5%
200万円超〜400万円以下代金 × 4% + 2万円(代金 × 4% + 2万円)× 1.1
400万円超代金 × 3% + 6万円(代金 × 3% + 6万円)× 1.1

※売買の場合、依頼者の一方から上記金額を上限として受領できます。

賃貸借の媒介報酬

物件種別依頼者の一方からの上限業者全体の合計上限
居住用建物原則:賃料の0.55ヶ月分(税込)
承諾あり:賃料の1.1ヶ月分(税込)
賃料の1.1ヶ月分(税込)
居住用以外(事務所・土地等)賃料の1.1ヶ月分(税込)賃料の1.1ヶ月分(税込)

試験対策のポイントとして、売買は代金の金額帯で料率が変わる点、賃貸は居住用か否かで原則上限が異なる点を押さえておくことが重要です。特に居住用建物の「承諾の有無」による上限の変動は、過去問でも繰り返し出題されています。

【2024年7月施行】報酬告示の改正と仲介手数料上限の最新動向

2024年7月、国土交通省は報酬規程(告示)を改正し、賃貸借の媒介報酬に関する新たな特例を設けました。既存の報酬上限ルール自体は変更されていませんが、以下の重要な追加があります。

空き家等の賃貸借に関する報酬特例の新設

長期間使用されていない居住用建物(いわゆる空き家)の賃貸借の媒介について、従来の上限に加え、現地調査等に要する費用相当額を依頼者から別途受領できる特例が新設されました。

  • 対象:長期間にわたり居住等の使用がなされていない宅地・建物の賃貸借の媒介
  • 要件:依頼者に対し事前に報酬額について説明し、合意を得ること
  • 基本ルールは維持:居住用の原則0.55ヶ月分(税込)、合計上限1.1ヶ月分(税込)の枠組みに変更なし

報酬上限の引き上げ議論

不動産業界では、賃貸借の媒介報酬上限(賃料1ヶ月分+消費税)が業務実態に見合わないとして上限引き上げを求める議論が続いています。2024年の改正では空き家特例の新設にとどまりましたが、今後の告示見直しにおいて上限額そのものが改定される可能性も指摘されています。

この改正は賃貸不動産経営管理士試験でも出題が見込まれる論点です。宅建試験との重複範囲でもあるため、ダブル受験を目指す方は改正の趣旨(空き家活用促進)と併せて押さえておきましょう。

広告料等、報酬以外の費用

管理業者が賃貸住宅管理として入居者募集業務を行う場合、管理業者は、入居者(賃借人)を募集するために広告を利用するのが一般的です。この場合の「広告に関する費用、いわゆる広告宣伝費」は、宅地建物取引業者である管理業者が受け取ることのできる報酬のなかから支出しなければなりません。つまり、原則として、広告費用を、別途請求することはできないということです。

ただし、例外的に、委任者から特別の依頼を受けたことによる広告宣伝費は、報酬とは別に「実費(実際に支出した金額)の範囲で」委任者(賃貸人)に請求することができます。しかし、多額の費用のかかる広告宣伝費等、請求できる場合は限定されています。宅地建物取引業者が報酬とは別に受領することのできる広告料は、大手新聞への広告掲載料等、報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金に限定されます(東京高判昭57.9.28)。報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金「以外」を報酬と称して受領するようなことがあれば、宅地建物取引業法違反となります。

実務における「AD」の問題点

実務において、賃貸借の媒介業務で、近年、媒介業者が、賃借人から1か月分(消費税込1.1か月分)の賃料に相当する報酬を受け取りながら、これとは別に、AD(広告費用)などと称して、賃貸人から1か月分またはそれ以上の報酬を受け取るケースが横行しています。これは、宅地建物取引業法に違反します。

宅地建物取引業者は、ADなどと称する報酬の受領を行うことは許されず、絶対に行ってはいけません。また、ADなどと称する違法な報酬の受領に対しては、監督官庁は厳しく取り締まらなくてはならず、取締りがなされないまま報酬の額の規律が守られない状況が常態となっていることは、監督官庁が責務を怠っているものであるといわざるを得ません。

また、管理業者が広告宣伝費の範囲を拡大して解釈したり、媒介に関する相談に乗ったことを理由に媒介報酬以外にコンサルティング料等の名目で委任者にお金を請求することは、宅地建物取引業法が定めた報酬の規定に違反することになります。

よくある質問

Q. 宅建業法の報酬額表では、賃貸借の仲介手数料の上限はいくらですか?

A. 宅建業法の報酬額表によると、賃貸借契約の媒介報酬の合計上限は賃料1か月分+消費税(賃料の1.1か月分)です。居住用建物の場合、依頼者の一方から受領できる額は原則として賃料の0.55か月分までですが、依頼者の承諾があれば一方から1.1か月分まで受領できます。

Q. 居住用建物と事務所では、宅建業法上の報酬額の上限に違いはありますか?

A. はい、違いがあります。事務所や土地など居住用建物以外の場合、依頼者の一方から賃料の1.1か月分まで受領可能です。一方、居住用建物の場合は原則として依頼者一方につき賃料の0.55か月分が上限で、依頼者から承諾を得た場合に限り1.1か月分まで受領できます。

Q. 宅建業者が報酬とは別にAD(広告費)を受け取ることは合法ですか?

A. 原則として違法です。宅建業法上、広告費用は報酬の中から支出すべきとされています。例外として、依頼者から特別の依頼を受けた大手新聞への広告掲載など、報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別な広告料に限り、実費の範囲で別途請求できます。

Q. 賃貸借契約が成立しなかった場合、宅建業者は仲介手数料を請求できますか?

A. 請求できません。宅建業法上の媒介報酬は成功報酬とされており、賃貸人と賃借人の間で賃貸借契約が成立しなかった場合、管理業者(宅建業者)は報酬を受け取ることができません。契約が成立して初めて報酬請求権が発生します。

Q. 複数の宅建業者が関与する場合、報酬額表上の上限はどうなりますか?

A. 複数の宅建業者が媒介に関与する場合でも、宅建業者全体として受領できる報酬の合計額の上限は賃料の1.1か月分です。例えば賃料10万円で一方の業者が11万円を受領した場合、もう一方の業者は1円も受領できません。配分は業者間の話し合いと依頼者との媒介契約で決まります。

賃貸不動産経営管理士試験の過去問の解説を毎日3問、メールでお届けでします。

SNSでもご購読できます。