賃借人の入居

入居のための引渡し

貸室の引渡しは、鍵を渡すことによって行われます。そして、入居には立会いが必要です。退去時に「入居期間中に通常の使用方法によるものではない毀損が生じたかどうか」を確認するのですが、そのためには、「入居時の状況」と「退去時の状況」の両方を比較する必要があるので、入居時に立ち会って、室内の状況を確認しなければなりません。引渡しまでは媒介業者の仕事ですが、退去は管理業者の仕事となります。そのため、媒介業者と管理業者が連絡を取り合い、いずれかまたは両方で、入居時の確認を行うべきです。

鍵の管理

鍵の交付と預り管理の注意点

貸室の引渡しにあたっては、賃貸人は、通常、契約に係る金銭の授受を確認したうえ、賃借人に対して鍵を交付します。管理業者が賃貸人に代わり、賃借人に鍵を交付する場合は、賃借人から「鍵受領証」を受け取り、物件の鍵を交付したことを賃貸人に報告する必要があります。この「鍵受領証」は、退去時に鍵の返却を受ける場合の、鍵の本数などを確認するために使われます。

なお、管理業者が業務の必要性から各部屋の鍵を保管する場合は、その目的を賃借人に説明しておくべきです。鍵が無断で使用されたり、盗難等にあわないように厳重に管理することが極めて重要です。

マスターキーの取扱い

建物を管理するために複数の錠を解錠することができる鍵を「マスターキー」といいます。マスターキーは、賃借人が不在中の管理物件で非常事態が発生した場合に室内に立ち入る際などに、使用することを目的とする鍵です。日常のマスターキーの管理・保管については、取扱い規則を定め、担当する責任者を明確にしておくとともに、ほかの鍵とは区別したうえ、施錠できる場所に保管しておかなければなりません。そして、マスターキーを使用するのは、次の2つの場合に限られる。

  1. 非常事態の発生時
    例えば、出火、漏水、犯罪などの緊急事故が発生した場合です。室内に立ち入る場合は、複数人数で立ち入るべきである。また、立ち入った事実の報告を、遅滞なく賃貸人に(賃借人が不在の場合には賃借人にも)行わなければなりません。
  2. 賃貸人の指示があったとき
    例えば。工事点検や点検業務などに際して賃貸人から指示があった場合です。

鍵の管理台帳作成、利用のルール

マスターキーを使用する場合は、責任者の許可を得たうえで鍵の管理台帳などに使用日時・使用場所、使用目的、使用者・返却日などを記入しなければなりません。
さらに、火災や水漏れ、ガス漏れなど緊急を要する場合にやむを得ずマスターキーを使って賃借人の居室に入室する場合でも、点検業者や同じ社内の複数の人間に立ち会ってもらうといった配慮が必要です。
こういった、やむを得ない事情がある場合の入室については、あらかじめ賃借人に説明をして了解を得たうえで、特約として契約書に記載しておくことが望ましいです。。

錠・鍵の種類

「鍵(キー)」とは利用者が解錠に利用するために携帯する物であり、扉に固定されている部分を、「錠(シリンダー)」といいます。代表的な錠(シリンダー)の種類は次のとおりである。

ディスクシリンダー
以前は広く普及していたタイプで、現在もオートロック対応物件などに見られる。しかし、ピッキング被害が増加したため、現在製造中止になっている。
ロータリー(U9)シリンダー
ディスクシリンダーの製造中止後、もっとも普及しているシリンダーである。ピッキングに対する防犯性能も向上している。
ピンシリンダー
ピッキングに対する防犯性能に優れている。
ディンプルキー対応シリンダー
「リバーシブルピンシリンダー」ともいい、鍵の表面に、ディンプル(くぼみ)があり、防犯性に優れている。各社さまざまなタイプがあり、高級物件などで多く使用されている。
カードキー対応シリンダー
携帯に便利なカード式で、複製が困難なため、防犯に優れている。プラスティック製やペーパーカード、テレホンカードタイプなどがあり、ホテルなどでみられる。
暗証番号設定式シリンダー
暗証番号が変更できるため、毎度のシリンダー交換が不要となり、交換については、経費削減になる。
指紋照合など、その他のハイテク機器
防犯意識の高まりから、さまざまなハイテク錠システムが製品化されている。

なお、侵入盗の約7割が侵入をあきらめるとされる「5分」に耐えうるなどの防犯性能試験に合格し、警察庁により防犯性能が高いと認められた「CP認定錠」、または「1ドア2ロック(2つ鍵が付いている扉)」を玄関扉に採用することが望ましいです。

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