賃貸不動産経営管理士試験では、建築基準法等からの出題も多いです。そのため、このページで記載するによる規制についてもしっかり頭に入れておきましょう!
採光規定
住宅の居室のうち居住のための居室には、自然採光を確保するため、一定の開口部を設けなければなりません。これを「採光規定」と言います。採光規定は、学校や病院等の居室が適用対象であり、事務所や店舗用の建築物などの建築物には適用されません。
採光規定により、住宅の居室では床面積の1/7以上の採光に有効な開口部が必要となります。例外的に、有効な照明器具の設置などの措置を講じれば、床面積の1/10までの範囲で緩和することが認められています。
襖など常に開放できるもので間仕切りされた2つの居室は、採光規定上、1室とみなすことができます。(建築基準法28条第1項、令20条)
内装制限
火災の発生により建物内部の延焼を防ぐため、その用途規模に応じて内装材料などにさまざまな制限があります。これを「内装制限」といいます。新時だけでなく、賃貸借契約による内部造作工事も内装制限の対象となります(建築基準法35条の2、令128条の3の2~第129条)。
また、消防法により、カーテン・絨毯(じゅうたん)などもその対象となります。
換気規定
住宅用の建築物を含むすべての建築物の居室(便所などは除かれる)には、技術基準に従った換気設備または床面積の1/20以上の換気に有効な開口部が必要です。この場合、襖など常に開放できるもので間仕切られた2つの居室は、換気規定上、1室とみなすことができます(建築基準法28条第2項~第4項、石綿障害予防規則第8条)。
シックハウス対策
建築基準法の改正により、2003年(平成15年)7月1日着工以降の建築物では、シックハウス対策として、居室を有する建築物は、その居室内において政令で定める化学物質の発散による衛生上の支障がないよう、建築材料および換気設備について政令で定める技術基準に適合する必要が出てきました(建築基準法28条の2)。
この規定は、建築物を新築する場合だけでなく、中古住宅においても増改築・大規模な修繕・大規模な模様替えを行う場合にも適用となります。
また、この規定により、居室を有する建築物を建築する際、クロルピリホスおよびホルムアルデヒドを含む建築材料の使用が制限されます。
ホルムアルデヒドを発散する建築材料は、発散速度性能に応じて「第1種」から「規制対象外」まで4つの種別に区分され、居室の内装仕上げ材として、使用面積の制限等が規定されています。
F☆☆☆☆(エフ・フォースター)という大臣認定のシックハウス対策ラベルを当該建築材料に張ることができるのは、「規制対象外」の建築材料で、使用制限がなく、使用できます。
家具からもホルムアルデヒドは発散する
規制化学物質が非常に少ないものを使用した建築物であったとしても、持ち込まれた家具からホルムアルデヒド等の化学物質が発散される可能性があります。そのため、居室には常時換気設備(24時間換気設備)を設置しなければなりません。
一般の居室で0.5回/h以上(1時間にその部屋の空気の0.5、すなわち半分以上が新しい空気と入れ替わるという意味)、廊下や便所で0.3回/h以上の換気が必要とされています。
天井高
居室の天井高は、2.1m以上としなければなりません。そして、1室の中で天井の高さが異なったり、傾斜天井である場合は、平均天井高が2.1m必要であります(建築基準法施行令21条)。
なお、住宅系用途に限っては、天井の高さが1.4m以下で、かつ設置される階の床面積の1/2未満であるなどの一定の基準を満たした小屋裏物置(いわゆる「ロフト」)は、床面積に算定されず、建築物の階数の算定にも含まれません。つまり、1階部分にロフト部分があっても、ロフト部分が2階にはなりません。
防火区画
防火区画となる壁・床は、耐火構造の壁・床としなければなりません。そして、区画を構成する部分に開口部を設ける場合には、防火扉や防火シャッターなどの防火設備としなければなりません。
また、管理業者による日常的な維持管理においては、当該防火設備の機能を阻害しないような維持管理(防火戸が自動的に閉鎖する妨げとならない管理を行う。入居者に火災発生時には、防火戸が自動的に閉鎖することを伝えるなど)を行う必要があります。
直通階段
直通階段とは、その階から直接外部に避難できる階に直通している階段のことをいいます。
共同住宅では、主要構造部が準耐火構造または不燃材料の場合は、直通階段に至る歩行距離を50m以下、その他の場合は30m以下としなければなりません。
そして、その階における居室の床面積の合計が100㎡(耐火構造・準耐火構造または不燃材料で造られている場合は200㎡)を超える場合は、その階から避難するための直通階段を2つ以上設けなければなりません。
また、6階以上の階には、原則として直通階段を2つ以上設置する必要があります。
ただし、居室の床面積の合計が100㎡(耐火構造、準耐火構造または不燃材料で造られている場合は200㎡)以下で避難上有効なバルコニー・屋外通路その他これらに類するものを設ける場合は、直通階段を1つ設置すればよいです(建築基準法施行令120条、第121条、第122条)。
メゾネット型共同住宅
2階と3階で住戸である「メゾネット型共同住宅(主要構造部が準耐火構造であるものに限る)」の場合、本来は2階3階とも直通階段への入口が必要となるが、住戸の一番奥から直通階段までの歩行距離が40m以下であれば、2階または3階のいずれかに直通階段への入口があればよいです(建築基準法施行令120条第4項)。つまり、2階がメゾネットの場合、
避難路の幅
- 共同住宅では、住戸の床面積の合計が100㎡を超える階について、片側廊下の場合で1.2m以上、両側に居室のある場合は1.6m以上の廊下の幅が必要です(建築基準法施行令119条)。
- 階段の幅は、直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える階のものについては120cm以上、それ以外のものは75cm以上必要とされ、屋外階段については90cm以上と必要です(以上いずれも内法寸法(建築基準法施行令23条))。
- 屋外への出口または屋外避難階段から道路までは幅1.5m以上の通路を設けなければなりません(建築基準法施行令128条)。
非常用照明
建築物の各室から地上へ到る避難通路となる廊下や階段(外気に開放された部分は除く)には、非常用照明を設置しなければなりません。非常用照明はバッテリーを内蔵した照明器具で、停電時に自動的に点灯する仕組みである必要があります(建築基準法35条、建築基準法施行令126条の4)。
非常用進入口
すべての建築物では、3階以上の階で高さ31m以下の階には、火災時に消防隊が外部から進入できるように非常用の進入口を設けなければなりません。ただし、非常用の昇降機を設置している場合や非常用進入口に代わる窓として、各階の外壁面の長さ10m以内ごとに、1mの円が内接できる大きさ、または幅75cm以上高さ120cm以上の大きさの窓を設ける方法がとられている場合は、非常用進入口を設置しなくてもよいです(建築基準法施行令126条の6)。
避難器具
共同住宅の2階以上の階または地階で、収容人員が30人以上の場合は避難器具を設置しなければなりません。ただし、収容人員が100人を超えると収容人員に応じて、器具数が変わります(消防法施行令25条1項2号、2項1号)。
石綿(アスベスト)規制
石綿(いしわた)とは、「アスベスト」とも呼ばれ、天然の繊維状鉱物です。石綿(アスベスト)の繊維は、肺線維症(じん肺)、中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることも知られています。
そのため、建築材料としてアスベストを使用したり、アスベストが含まれる建築材料を使用することは禁止されている。
しかし、アスベストが禁止される前に使用されていた建築材料の撤去や内装改修等に伴う仕上材を撤去する場合には、建築材料のレベル区分によって撤去方法、仮設養生などが規定されています。また、改修工事に対する石綿対策が強化され、大気汚染防止法、石綿障害予防規則などが改正され、事前調査と調査結果の保存、計画届の対象拡大などが盛り込まれている。
界壁(かいへき)
界壁とは、共同住宅において、各住戸(部屋)の間を区切る壁のことです。例えば、101号室と102号室の間にある壁です。
共同住宅では隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するため、小屋裏または天井裏まで達する構造とした界壁を設けなければなりません。ただし、天井の構造が界壁と同等の遮音性を有するものであれば、小屋裏または天井裏まで達する構造でなくてもよいです(建築基準法30条)。