耐震構造
- 地震が発生した際、加速度は、上階ほど大きい。
※加速度とは、地震波による「地表の振動の速さの変化率」です。分かりやすく言えば、どれくらいの速さで地表が揺れるかです。 - 耐震構造は、構造を損傷させて、エネルギーを吸収する。
- 大地震時は、構造躯体等の損傷を許容せざるを得ない。
分かりやすく言えば、大地震が起きると、建物自体損傷する。
木造建物の場合は、「柱・梁(はり)・筋かいの接合部」および「基礎と柱の接合部」を所定の接合部金物により緊結し、耐震壁や筋かいをバランスよく配置することにより、建物を堅固な「耐震構造」にすることが原則です。鉄筋コンクリート造建物の場合は、コンクリートの強度を上げたり、鉄筋量を増やしたり、耐震壁をバランスよく配置することにより建物を堅固な構造にするのが原則です。
なお、非構造部材(例:外壁パネル、天井下地材、天井吊り設備機器など)についても耐震補強を行います。
制振(制震)構造
- 加速度は、「耐震構造」と「免震構造」の間の值
- 主に各階(建物内部)のダンパーでエネルギーを吸収する。
- 構造躯体等の損傷を少なくできる。
制振(制震)構造は、免震構造のように地震力が建物に入りにくくするのではなく、建物に入った地震力を、建物内部に設置した制震部材(ダンパー)等で吸収することにより、大地震であっても70~80%に振動を低減することができます。
軽くてやわらかい建物に有効で、塔状の建物では風揺れ対策にも効果が発揮できます。また、免震構造のように建物の本体そのものに大きく手を加えることが少ないため工事費も低く、新築ばかりでなく改修にも向いている構造方式です。
免震構造
- 免震装置で地盤からの揺れを伝わりにくくし、加速度は各階とも小さい。
- 主にダンパーでエネルギーを吸収する。
- 構造躯体等の損傷が少ない(免震層の変形は大きい)。
免震構造とは、建物に地震力が伝わりにくくするように基礎と建物本体との間にクッション(免震ゴム+ダンパー)を設け、ゆったりとした揺れに変える構造方式です。大地震であっても、30~50%に振動を低減することができます。
地震の際、免震層の上部が大きく移動(変形)するスペース(クリアランス)が必要で、図のように、床下に免震装置を設置するため、地下駐車場の設置など床下の有効利用が難しくなります。また、免震装置部分は機械装置なので、地震時に有効に稼動するかどうかの定期的な点検も必要です。工事期間のゆとりや敷地に余裕のある場合には非常に有効な構造方式です。ただし、「免震構造」で改修する場合には、改修工事の仮設などで多額の工事費が必要となるほか、建物本体に手を加えにくい文化財的建物や防災拠点となる建物などを除いては改修方法としては利用されにくく、新築時の建物の構造として利用されることが多い。つまり、建物本体に手を加えにくい文化財的建物や防災拠点となる建物では、利用されます。