エレベーター(昇降機設備)

エレベーターは、その駆動方式により、ロープ式と油圧式に分類される。また、ロープ式には、エレベーター機械室があるタイプとないタイプの2種類があり、エレベーター機械室のないタイプは、マシンルームレスと呼ばれています。

ロープ式エレベータと油圧式エレベーターの種類の図です。

ロープ式エレベーター

ロープ式エレベーターは、屋上等の建物上部に機械室を設け、ロープを巻き上げ下げして、上下運行させる方式で、ビルやマンションでは主にこのロープ式のエレベーターが採用されています。

マシンルームレスは、巻上機がエレベータシャフト(エレベータが上下する空間)内に設置できるため、機械室が不要となるので建築的に有利となるため、近年増加しています。

そして、ロープ式エレベーターは、「トラクション式(機械室ありタイプ、機械室なしタイプ)」と「巻胴式」の2つに分かれます。
トラクション式とは、「つるべ式」とも呼ばれ「人が乗り降りするカゴ」と「つり合いおもり」の重量をつり合わせ、巻上機で効率的に駆動させるエレベーターです。
巻胴式とは、ワイヤーロープを「人が乗り降りするカゴ」に巻きつけて、「巻胴式巻上機(ロープを巻き上げる機械)」で、ロープを巻き上げたり、解放したりして、カゴを昇降させる仕組みのエレベーターです。

油圧式エレベーター

油圧式エレベーター(直接式)は、油圧シリンダー内のプランジャー(上下に可動する部分)に人が乗るかごを直結し、機械室の油圧パワーユニットからシリンダーに油を送ることで昇降させるタイプで、主に低層用のエレベーターとして用いられます。

エレベーター事故は、人命に影響するので、その安全性には厳しく配慮しなければなりません。

そして、油圧式エレベーターには「直接式」「間接式」「パンタグラフ式」の3種類に分けることができます。

フルメンテナンス契約

エレベーターの保守契約は、おおむね月1回か2回の保守点検を実施する内容で、「フルメンテナンス契約」と「POG契約(パーツ・オイル&グリース契約)」の2つの方式があります。

フルメンテナンス契約は、部品取替えや機器の修理を状況にあわせて行う内容で、大規模な修繕まで含めるため、月々の契約は割高となります。ただし、乗降扉や三方枠の塗装、かご内の床・壁・天井の修理、新しい機能による改造や新規取替えは、月額費用に含まれず、別途費用がかかります。

フルメンテナンス契約のメリット

消耗部品の部品代と交換・調整費用が保守料金に含まれるので年度予算の立案・管理が容易です。

フルメンテナンス契約のデメリット

  • 部品の信頼性や寿命に基づく部品代、交換、調整費用等を考慮した料金設定のため、保守料金が割高に設定されている。
  • かご内装等、契約に含まれない部品を交換する場合は、別料金が発生する。
  • 天災や故意による損壊等の修理費保守料金には含まれない

POG契約(パーツ・オイル&グリース契約)

消耗部品付契約のことで、定期点検や契約範囲内の消耗品の交換は含まれるが、それ以外の部品の取替え、修理は別料金になる。月額の契約金は、フルメンテナンス契約の6割ぐらいです。

POG契約のメリット

  • 月々の保守料金が安く設定されている。
  • 毎回実施する点検作業は、フルメンテナンス契約と同じ作業を行う場合が多い。
  • 部品代、交換・調整費用がその都度発生するが、発注側のコスト意識が高まる

POG契約のデメリット

  • 電気・機械部品が故障した場合、部品交換に費用が発生するため、費用見積りと確認に時間がかかる。迅速性に欠ける。
  • 経年劣化により費用が増加する

エレベーターの法定点検

建物の賃貸人は、年1回昇降機定期点検報告書を特定行政庁に提出しなければなりません(建築基準法12条3項、同法施行規則6条1項)。
なお、ホームエレベーターは、定期報告不要です。

年数を経たエレベーターは、停止の際、乗り場とかごの床に段差が生じたり、昇降時に不快な振動が生じます。また、電気代がかさむ等の劣化の兆候が現れます。

建築物の定期調査報告

建築基準法の「定期報告制度」は、不特定の人や多数の人が利用する特殊建築物等が火災などの災害の発生により大惨事となるおそれがあることから、特殊建築物その他一定規模以上の建築物で特定行政庁が指定する建築物等の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)について、当該建築物や建築設備を、一定期間ごとに建築士等の資格を有する専門技術者に調査・検査させて、特定行政庁に報告しなければならないとされています。

定期報告制度の対象には、昇降機(エレベーター、エスカレーター)が含まれます。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*