ガス設備

都市ガスとLPガスの事業区分

ガス設備は、一般住宅や集合住宅における生活に欠かすことのできないエネルギーの一つです。

そして、ガス設備によって供給されるガスは、「都市ガス」と「液化石油ガス(LPガス)」に分類されます。「液化石油ガス」は、ガスの成分から、プロパンガスやブタンガスとも呼ばれています。

都市ガスは、導管でガスを供給する一般ガス事業者が一般の住宅や集合住宅にガスを供給する場合に使用するガスで、現在は、ガス製造事業ガス導管事業(一般ガス導管事業および特定ガス導管事業)ガス小売事業の3つに事業が分割されています。

一方の、LPガスは、「70戸以上の集合住宅に導管でガスを供給、販売するLPガス小売供給事業(コミュニティーガス事業)」と「ボンペに詰めたプロパンガスを一般の住宅や集合住宅に配送して供給・販売するLPガス販売事業」とがあります。

都市ガスの事業制度

事業の名称 事業の内容 制度
一般ガス導管事業 ガスを製造する 届出制
ガス製造事業(LNG基地事業) 自社や他社のガスを輸送・供給する 許可制
特定ガス導管事業 特定の供給地点にガスを輸送・供給する 届出制
ガス小売事業 大口、小口を問わずガスを小売する 登録制

LPガスの販売事業制度

事業の名称 事業の内容 制度
LPガス小売供給事業(コミュニティーガス事業) 簡易なガス発生設備でガスを発生させ、一の団地(供給地点群)内において70戸(供給地点)以上のガス需要家に対し、導管でガスを供給する小売事業。 登録制
LPガス販売事業 ボンペに詰めてLPガスを販売する 登録制

都市ガスとLPガスの主な違い

ガスは、「比重・熱量・燃焼速度の違いで13A~L3までの7グループ13種類に分類した都市ガス」と「LPガス」に分けられます。

都市ガスは、エネルギー事業の変遷に伴い主要原料が石炭から石油系に移り、現在では液化天然ガス(LNG:13A・12A)が主流です。

都市ガス

  • メタンを主とする天然ガス、海外から輸入する液化天然ガス(LNG)が大半を占める
  • 無色無臭であるが、ガス漏れ時に気が付くように匂いを付けている
  • マイナス162℃まで冷却すると液体になり、体積は1/600となる(液体になりにくい
  • 空気より軽い
  • 地下のガス導管を通じて各戸に供給する
  • 供給エリアは人口密度の高い都市部のみ
  • 発熱量は小さい
  • 2017年まで規制料金だったが現在は自由料金
  • 販売店同士の価格差が小さい
  • プロパンガス(LPガス)より安い

LPガス

  • プロパン・ブタンを主とする液化石油ガス(LPガス)で、大半を海外から輸入している
  • 無色無臭であるが、ガス漏れ時に気が付くように匂いを付けている
  • マイナス42℃まで冷却すると液体になり、体積は1/250となる(液体になりやすい
  • 空気より重い
  • LPガスボンベを各戸(契約者宅)まで事業者が配送する
  • 供給エリアは全国どこでも
  • 発熱量は大きい(パワーがある)
  • 自由料金
  • 販売店同士の価格差が大きい
  • 都市ガスより高い

ガス管

ガスの配管材料は、以前は屋外埋設管は鋳鉄管、屋内配管は配管用炭素鋼鋼管(白ガス管)が用いられていたが、さびたりするので、近年ではより耐久性を高めるため、屋外埋設管は、ポリエチレン管ポリエチレン被覆鋼管屋内配管塩化ビニル被覆鋼管が多く使われています。

ガスメーター(マイコンメーター)

ガスメーター(マイコンメーター)は、ガスの使用量を計量する機能だけではなく、ガスの異常放出や地震等の異常を検知して、自動的にガスの供給を遮断する保安機能があります。

住戸内のすべてのガス器具が使えなくなった場合は、ガスメーター(マイコンメーター)が異常を検知し、自動的にガスの供給を止めている可能性があります。ガス管やガス器具に異常がない場合、ガス利用者(入居者)は、以下の手順(ここではLPガスの復帰方法を紹介)でガスメーター(マイコンメーター)の復帰操作を行うことができます。復帰操作後も再度ガスの供給が止まった場合は、ガス会社に連絡し、点検を依頼します。

  1. 器具栓をすべて閉める。使っていないガスの元栓が閉まっていることを確認する。
  2. マイコンメーターの左側の復帰ボタンを押す。すると「ガス止」の文字が消える。
  3. 液晶の文字とランプが点滅するので、1分間待つ。
  4. 液晶の文字とランプが消えたら、復帰完了。ガスは使える。

仕様流量が16㎡以下」、「使用最大圧力が4kPa以下」および「口径が250mm以下」の場合、マイコンメーターの設置が義務づけられています。このマイコンメーターは、流量や圧力の異常時、大規模地震時などにガス供給を遮断する機能を持っています。

ガス警報器

都市ガスとLPガスの警報器の設置場所の違いの図です。

ガス警報器の取付けは、都市ガス空気より軽い場合は、天井面の下方30cm以内とし、プロパンガス(LPガス)のように空気より重い場合は、床面の上方30cm以内の壁などに設置することで、ガス漏れを検知して確実に鳴動する必要があります。

ガスの開栓手続き

ガスの使用を開始する際には、住戸ごとにガス会社による開栓作業が必要です。開栓作業は原則としてガス利用者(入居者)が立ち会う必要があります。管理業者は賃借人に対し、入居前にはガス会社に連絡してガスの開栓を求めるよう伝えておくべきです。

そして、ガスメーターは、有効期限が定められ、家庭用のガスメーターは10年以内に1回業務用のガスメーターは7年以内に1回、取替えが必要です。

また、ガス警報器の有効期限(警報器の所定の性能を維持できる期限)は、取付後5年なので、警報器に貼ってある有効期限を表示したラベルを確認し、期限が近づいたもの、期限を過ぎたものは取替えが必要です。

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