外壁の種類
モルタル塗り
モルタル塗りとは、壁材(木・コンクリート)の表面にモルタルを塗り、表面に吹きつけ材等の塗装を施したものです。表面が剥落の危険があるので、ひび割れや、浮きに注意する必要があります。
※モルタルとは、セメントに、砂を加えて水で練り合わせたものです。
タイル張り
タイル張りとは、壁材(木・コンクリート)の表面にタイルを張り付けたものです。最近は、「アルミ下地に乾式タイル」を張り付ける工法もあります。タイル張りには、「コンクリート面にタイルをモルタルや有機系接着剤によって接着する方法」と、「コンクリート打ちの際に型枠の内側にタイルを貼り、直接コンクリートを打ち込み、密着させる方法」があります。いずれも「タイルのひび割れや浮き」を生じる場合があります。また、モルタルを用いている場合は、モルタル仕上げ同様に、タイルが浮き上がり、落下しやすくなるので、目地などのシーリング材の劣化やひび割れに注意する必要があります。
そして、近年は、アスベスト、鉛、PCB(有機塩素化合物)などの有害化学物質を含有する防水材、塗料などが問題になっています。屋上の防水改修、外壁改修などの工事に先立ち、所轄行政庁と協議したうえで、材料をサンプリングしてその成分分析を行い、その結果によって、入居者や工事作業者などの健康を考慮した仮設養生、撤去方法、廃棄物処理などを決定します。そのため、従来よりも、工事費用が高く工期が長くなる傾向にあります。
コンクリート打ち放し
コンクリート打ち放しとは、コンクリートの上にモルタルを塗らずに直接仕上げたものです。仕上げ材は、コンクリートの劣化を緩和する役割が大きいので、はがれなどに注意する必要があります。ひび割れが生じても落下する心配は少ないですが、雨漏りやコンクリートの劣化につながりやすいので早めに補修します。また、コンクリートの上に塗装を施したものもあります。
サイディングパネル
サイディングパネルとは、セメントや金属板等を原料とした板状の壁材(パネル)を外壁に設置したものです。建売住宅でもサイディング工法を採用した住宅が多くなりました。飯田グループホールディングスの建売住宅の多くは、このサイディングパネルを使っています。
外壁のメンテナンス
「外壁タイル」や「モルタル塗り」では、その剥離、剥落に注意を払わなければなりません。下地のコンクリートや下地のモルタルとの付着力が低下すれば剥落事故につながります。そのため、日常点検のほか、剥落事故防止のために定期的な調査・診断も必要です。
コンクリート打ち放し等
「コンクリート打ち放し」あるいは「塗装材の吹きつけ仕上」の外壁表面に発生した雨水の汚れやコケ・カビは、美観的にもよくないので除去する必要があります。また、コンクリート自体の塩害・中性化・凍害、鉄筋発錆に伴う爆裂なども点検する必要があります。
ピンネット工法の外壁
ピンネット工法とは、外壁の落下事故を防ぐため、ピンでモルタルをコンクリートへ固定し、ひび割れたモルタルをネット層で補強することで、外壁の落下を防止する補修工法です。ピンネットエ法で改修した外装も、タイル張り同様、10年ごとに全面打診または赤外線調査を行わなければなりません。
タイル張りの外壁
原則、竣工後10年ごとに全面打診または赤外線調査による方法のほか、「有機系接着剤張り工法による外壁タイル」については、一定の条件を満たす場合、引張接着試験により確認する方法によっても差し支えないことになりました。この条件までは覚える必要はありません。
外壁の劣化現象
- 剥落・欠損
- 目視で確認するほか、外壁近辺にタイルなどが落ちていたことがあるかなどのヒアリングも必要です。
- ひび割れ
- 建物出隅部、コンクリート打継ぎ部、パラペット部などで発生します。 ※「出隅(でずみ)」とは、2つの壁や、板が出会う出っ張った隅(角)のこと。
- 白華現象
- 白華現象は「エフロレッセンス」とも呼ばれ、セメントの石灰等が水に溶けてコンクリート表面に染み出したもので、空気中の炭酸ガスと化合して白色です。外壁面の浮きやひび割れ部に雨水などが進入したことにより発生する場合が多いです。そして、白華現象は、タイル表面、目地部などの白色付着物の有無で確認します。
- 錆汚れの付着
- 換気口周辺、水槽架台付近などで発生します。
- 水漏れ痕跡
- シール部、コンクリート打継ぎ部などで発生します。
- ポップアウト
- ポップアウトとは、コンクリート内部の部分的な膨張圧によって、コンクリート表面の小部分が円錐形のくぼみ状に破壊された現象です。そして、塗装膜の小さな破壊があるかどうかで確認します。
- チョーキング
- チョーキングとは、表面塗装膜などの劣化により、表面が粉状になる現象で「白亜化」ともいいます。塗装面やシーリング材表面で発生し、手で触ると白くなります。
外壁部の調査・診断
日常点検は常日頃から行い、ときには指触の方法をとることが必要となる場合もあります。
1次診断は、劣化の度合いを大まかに把握し、2次診断および3次診断では劣化の要因を特定し、修繕や改修の要否の判断を行います。また、法定点検では、外壁改修等から10年を経てから最初の調査の際に全面打診等により調査しなければなりません。
- 日常点検
- 日常点検は、劣化診断の初動調査、不具合の早期発見することが目的で、目視が可能な箇所で行います。
- 1次診断
- 現状把握、劣化の危険性を判断することが目的で、目視、指触、軽微な機器を使って調査します。
- 2次診断
- 「劣化の危険性の判断」や「改修の要否の判断」が目的で、非破壞、微破壊試験によって調査します。
- 3次診断
- より詳細な診断、評価を行うことが目的で、局部破壊試験を行って調査します。
雨樋のメンテナンス
落ち葉やほこりの蓄積で縦樋の詰まりや、降雨時に雨樋のオーバーフロー(雨水が通らない現象)を起こしたりすると、軒天や破風部に水が回り、建物全体の劣化を早めることになります。定期的に点検し、外壁等の補修時に美観上からも表面塗装をします。ジョイント部分の外れや、樋(とい)自体のゆがみなどが見受けられる場合には、交換します。横樋・縦樋に落ち葉が入り込むと、排水を止めて、下階に雨水を溢れさせるので、ときどき、樋を清掃する必要があります。とくに、近くに大きな落葉樹がある物件では、常に留意することが大切です。