木造在来工法
日本の伝統的な木造住宅の工法です。太い断面の部材を使用した土台、柱、梁(はり)などの軸組(骨組み)で主要構造を構成する工法で、木造軸組工法ともいいます。従来、補強金物はあまり使わず、複雑な継手や仕口で組んで施工していたため、施工に際しては、高度な技術・技能が要求されました。最近では金物を積極的に使用したものも多いです。
メリット
- 建物重量が軽い
- 施工し易く、設計の自由度が高い。
デメリット
防火・耐火性能に劣る。
木造ツーバイフォーエ法(木造2×4工法)
北アメリカで広く使われていた工法で、主要部材の基準断面が2インチ×4インチ(約5×10cm)であることから、日本では「ツーバイフォー工法」と呼ばれています。枠組にして構造用合板を張った壁、床によって構成された壁式構造であり、正式には「枠組壁工法」といいます。キーワードは「壁」です。壁で建物を支えるイメージです。
メリット
構造安全耐力、居住性能(断熱・保温)上、優れている。
デメリット
気密性が高いため、建物の内部に湿気がたまりやすい。
プレハブ工法
構成部材を事前に工場製作し、現場では部材の組立てだけを行う工法です。イメージとしては、プラモデルみたいなイメージです。最近の木造住宅は、プレハブ工法が多いです。
構成部材の種類により以下に分かれる。
- 軽量鉄骨プレハブ構造
- 軽量コンクリート組立工法
- ツーバイフォー工法
※ツーバイフォー工法は、「木造部材のプレハブ工法」に分類されるが、狭義には上記1、2をプレハブ工法と言います。
メリット
- コストが安定している(現場管理費が安い)。
- 工期短縮、省力化、品質向上に優れている。
デメリット
規格化された部材を組み合わせるため、設計の自由度が低い。
CLT工法(Cross Laminated Timber)
ヨーロッパで開発された木質系工法です。繊維方向で直交するように板を交互に張り合わせたパネルを用いて床、壁、天井(屋根)を構成する工法です。日本では、2016年から、多くの実績を積んでいて、三菱地所は、2041年までに東京・丸の内に地上70階建て、高さ350m、延べ面積455,000㎡の店舗併用型住宅の構想計画を発表しています。
メリット
- 耐震性、断熱性、遮炎性などに優れている。
- 材料寸法の安定性が高い。
デメリット
- 価格が高い
- 雨水浸入を妨げることができないので、外部に面して別途仕上げが必要。
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造では、その名前のとおりに「鉄筋」と「コンクリート」がそれぞれの弱点を相互に補うことにより、その構造特性が活かされています。「コンクリートは圧縮力には強いが、引張力に弱い」ので、小さな引張力でひび割れが発生します。そのため、「引張力に強い鉄筋」を用いてコンクリートを補強することにより、圧縮力にも引張力にも強い鉄筋コンクリート構造が生まれます。
鉄筋コンクリート造の建物に数多く用いられている代表的な構造形式(架構形式)がラーメン構造です。
メリット
- 耐火、耐久性がある
- 可塑性のある鉄筋コンクリートを材料としているので、自由な形や面的な構造が比較的容易にできる。
※可塑性(かそせい)とは、変形したまま元に戻らない性質です。 - 剛性が高いので常時において、揺れが少ない。
※剛性が高いとは、力に対して変形が小さいことをいう。 - 遮音性、断熱性が高い。
デメリット
- 建物重量が重いため構造部材は地震に対する設計(耐震設計)で決まることが多い。
- 木造や鉄骨造に比べ地盤改良や杭基礎が必要になることが多い。
- 施工工期が長い。
- 現場での工程が支配的なため、材料の管理や施工により品質と強度にバラツキが出易い。
- 現場でコンクリートを打ち込むので、乾燥収縮によるひび割れが発生しやすい。
- 解体がしにくい。
- 工事費は木造より高い。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄骨を鉄筋コンクリートで被覆した構造です。鉄筋コンクリート造の基礎の上に、工場で加工した鉄骨の柱、梁を高力ボルトまたは溶接で組み立て、次に鉄骨周りに鉄筋を配筋し、型枠設置後、コンクリートを打ち固める。
メリット
- 鉄筋コンクリート造よりも耐震性(強度・変形能力)に優れている。
- 耐震性に優れる。
- 鉄骨構造より振動が少なく、遮音性が高い。
- 比較的高層建築物に向いている。
デメリット
- 工期は鉄筋コンクリート造より長い。
- 工事費がRC造より高い。
- 解体がRC造よりしにくい。
- 施工の難易度が高い。
鉄骨造(S造)(Steel)
柱、梁などの構造体に鉄骨を使用する構造。柱間隔の大きい大空間を必要とする工場や倉庫をはじめ、店舗や事務所建物に多く採用されます。
メリット
- 比較的軽量なので、(超)高層建物に採用されることが多い。
- 大きな空間が作りやすい(スパンが大きくとれる)。
- 主要な構造部材は鉄骨工場で製作されるので、品質が安定している。
- 鋼材の加工性がよく、施工工期が短く、省力化が可能。
- 耐震性に優れる。
デメリット
- 耐火被覆、防錆対策が必要。
- 風、地震等による揺れの影響を受けやすい。
- 歩行振動など常時の揺れ対策に配慮が必要。
- 外壁の目地のメンテナンスが必要。
- 工事費は木造より高い。
CFT造(Concrete Filled steel Tube)
角形および円形鋼管の内部にコンクリートを充填した構造です。主に柱に使われます。そして、鋼管とコンクリートの相互拘束効果が期待できます。
メリット
- 強度が高く、柱感覚や階高を大きく確保することが可能。
- 柱の断面を細くできる。
デメリット
- コンクリートの充てんの確認が十分ではない
- RC造、S造よりも工事コストは高い