国土交通省は、障害者差別解消法で禁止される宅地建物取引業者(以下、「宅建業者」という)の行為等の具体例を以下のようにガイドラインとして公表しています。これは、主として仲介の場面を想定した内容ですが、管理業務においても参考となると考えられます。
正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに当たると想定され、禁止される事例
- 物件一覧表に「障害者不可」と記載すること。
- 物件広告に「障害者お断り」として入居者募集を行うこと。
- 宅建業者が、障害者に対して、「当社は障害者向け物件を取扱っていない」として話も聞かずに門前払いすること。
- 宅建業者が、賃貸物件への入居を希望する障害者に対して、障害(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害があることを理由に、賃貸人や家賃債務保証会社への交渉等、必要な調整を行うことなく仲介を断ること。
- 宅建業者が、障害者に対して、「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に、仲介を断ること。
- 宅建業者が、ひとり暮らしを希望する障害者に対して、一方的にひとり暮らしは無理であると判断して、仲介を断ること。
- 宅建業者が、車いすで物件の内覧を希望する障害者に対して、車いすでの入室が可能かどうか等、賃貸人との調整を行わずに内覧を断ること。
- 宅建業者が、障害者に対して、障害を理由とした誓約書の提出を求めること。
障害を理由としない、又は正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに当たらずに禁止されないと考えられる事例
- 合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること
多くの事業者にとって過重な負担とならず、積極的に提供を行うべきと考えられる合理的配慮の事例やるべきこそ
- 障害者が物件を探す際に、最寄り駅から物件までの道のりを一緒に歩いて確認したり、1軒ずつ中の様子を手を添えて丁寧に案内すること。
- 車いすを使用する障害者が住宅を購入する際、住宅購入者の費用負担で間取りや引き戸の工夫、手すりの設置、バス・トイレの間口や広さ変更、車いす用洗面台への交換等を行う場合、必要な調整を行うこと。
- 障害者の状態に応じて、ゆっくり話す、手書き文字(手のひらに指で文字を書いて伝える方法)、筆談を行う、わかりやすい表現に置き換える等、相手に合わせた方法での会話を行うこと。
- 種々の手続きにおいて、障害者の求めに応じて文章を読み上げたり、書類の作成時に書きやすいように手を添えたりすること。
過重な負担とならない場合に、提供することが望ましいと考えられる合理的配慮の事例
- 物件案内時に、段差移動のための携帯スロープを用意すること。
- 物件案内時に、車いすを押して案内すること。物件案内の際、肢体不自由で移動が困難な障害者に対し、事務所と物件の間を車で送迎すること。
- 車いす使用者のために、車いす専用駐車場を確保すること。
- 物件の案内や契約条件等の各種書類をテキストデータで提供する、ルビ振り(漢字のふりがなを記載すること)を行う、書類の作成時に大きな文字を書きやすいように記入欄を広く設ける等、必要な調整を行うこと。
- 物件のバリアフリー対応状況がわかるよう、写真を提供すること。
- 障害者の居住ニーズを踏まえ、バリアフリー化された物件等への入居が円滑にされるように、居住支援協議会の活動等に協力し、国の助成制度等を活用して適切に改修された住戸等の紹介を行うこと。