住宅セーフティネット法とは
住宅セーフティネット法とは、賃貸住宅や空き家等の有効活用を通じて、「住宅確保要配慮者(高齢者、子育て世帯、低額所得者、障がい者、被災者など)」が入居しやすい賃貸住宅の供給促進を図ることを目的とする法律です。 正式名は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」です。
住宅確保要配慮者の中でも、単身高齢者は、今後10年間で100万世帯の増加が見込まれます。(うち民間賃貸入居者は22万人)
一方で、大家サイドでは、家賃滞納・孤独死等への不安から入居の拒否感があるなど、安心して暮らせる住宅の確保を可能とする住宅セーフティネット機能の強化が重要な政策課題となっています。
また、総人口が減少するなか、これまで住宅セーフティネットを担ってきた公営住宅の大幅増は見込めないなかで、民間の空き家・空き室が多く存在し、引き続き増加が見込まれていることから、こうした空き家等の有効活用が重要な課題となっています。
そこで、民間の空き家等を活用して、住宅セーフティネット機能を強化するため、2017(平成29)年4月19日に住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下「住宅セーフティネット法」または「法」という)の一部を改正する法律が成立し、空き家等を活用とした低所得者など「住宅確保要配慮者」を拒まない賃貸住宅の登録制度が創設されました。
注意点
住宅セーフティネット法のポイント一覧
地方公共団体による供給促進計画の策定(法第5条等)
都道府県および市町村は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画を作成することができます。
住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設(法第8条等)
- 賃貸人は、空き家等を住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として都道府県等による登録を受けることができる。
- 登録を受ける空き家等は、構造、設備、床面積、家賃等が、国土交通省令で定める登録基準に適合していなければならない。
- 登録を受けた賃貸人は、入居を希望する住宅確保要配慮者に対し、住宅確保要配慮者であることを理由に入居を拒否してはならない。
- 都道府県等は、登録住宅の情報開示を行うとともに、住宅確保要配慮者の入居に関し賃貸人を指導監督する。
- 登録住宅の改修費については、住宅金融支援機構の融資を受けることができる。
住宅確保要配慮者の入居円滑化に関する措置
居住支援法人制度(法第40条等)
- 都道府県等は、住宅確保要配慮者の円滑な入居を支援する活動を公正かつ適確に行うことができるNPO等の法人を居住支援法人として指定することができる。
- 居住支援法人は、住宅確保要配慮者の家賃債務保証、登録住宅の情報提供、入居相談その他の援助等の業務を行う。
住宅扶助費等の代理納付を推進するための措置(法第21条)
登録を受けた一定の賃貸人は、生活保護受給者である登録住宅の入居者(賃借人)が家賃滞納のおそれがある場合等に、保護の実施機関(福祉事務所)に通知することができます。通知を受けた保護の実施機関は、住宅扶助費等の代理納付(本来、生活保護受給者が賃貸人に支払うべき家賃等を、保護の実施機関が賃貸人に直接支払うこと(生活保護法第37条の2)の措置を講じる必要があるかを判断するため、事実確認を行います。
この措置は、「保護の実施機関(福祉事務所)」が賃借人(生活保護受給者)の代わりに直接、賃貸人に家賃を払うという内容です。
住宅金融支援機構による保険の引受け(法第20条)
適正に家賃債務保証を行う業者は、住宅金融支援機構による保険を受けることができます。
その他
もっぱら住宅確保要配慮者のために用いられる登録住宅については、「①バリアフリー等の改修費を国・地方公共団体が補助する」、「②地域の実情に応じて、要配慮者の家賃債務保証料や家賃の低廉化に対し、国・地方公共団体が補助する助成措置が講じられています。
具体的には、家賃債務保証料について「保証業者」に対しては最大6万円(戸・年)が補助され、家賃について「賃貸人」に対しては最大4万円(戸・月)の補助されます。