住宅宿泊事業法

住宅宿泊事業法の制定背景

住宅宿泊事業(民泊サービス)は、住宅を活用し、住宅内で宿泊客に宿泊を提供する事業ないしサービスです。世界各国で広まっており、多様化する宿泊ニーズや逼迫する宿泊需要に対応するものとして、日本でも急速に普及してきた。しかし、住宅宿泊事業の普及に伴って、公衆衛生の確保や地域住民等とのトラブルが発生し、また、人を宿泊させる営業を行うには旅館業法に基づく都道府県知事の許可が必要であるところ(旅館業法第3条1項)、多くの住宅で無許可の旅館営業(違法民泊)が行われるなどの問題を生じた。そこで、これらの問題に対処し、住宅宿泊事業を健全に発展させるために、2017(平成29)年6月に住宅宿泊事業法(民泊法)が制定され、同法は、2018(平成30)年6月15日に施行されています。

住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業の届出を行えば、旅館業の許可を得ることなく、住宅に人を宿泊させる事業を行うことが可能です。住宅宿泊事業法には、住宅宿泊事業のほかに、住宅宿泊管理業住宅宿泊仲介業という住宅宿泊事業をサポートするための事業についても規定されています。

なお、民泊サービスには、住宅宿泊事業法に基づく民泊サービスのほかに、「国家戦略特別区域法(2013(平成25)年12月制定)による特区民泊」や「イベント民泊」、「簡易宿所民泊」があります。特区民泊は、区域を限って認められる住宅宿泊事業です。

住宅宿泊事業の意味

住宅宿泊事業は、宿泊料を受けて、住宅に人を宿泊させる事業です。宿泊とは、寝具を使用して施設を利用することをいいます(住宅宿泊事業法2条2項)。都道府県知事への届出を行うことによって、事業を行うことができます(住宅宿泊事業法3条1項・第2項)。

住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業では、宿泊を提供する日数は、1年間で180日(泊)が上限です(住宅宿泊事業法2条3項)。加えて、都道府県または保健所設置市等は、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、条例によって、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができ(住宅宿泊事業法18条)、実際に多くの自治体で、条例が制定され、宿泊を提供する日数の上限が制限されています。

住宅宿泊事業は、住宅を対象とする事業です。住宅ではない建物や施設では、事業を営むことはできません。住宅宿泊事業者については、都道府県知事によって監督されます。

「家主居住型」と「家主不在型」

住宅宿泊事業には、「家主居住型」と「家主不在型」があります。「家主居住型」は、ホームステイを行うタイプであり、「家主不在型」は、人を宿泊させる間、家主が不在となるタイプ(空き家に宿泊者を泊めるタイプ)です。

住宅宿泊事業者の義務

住宅宿泊事業者には、(1)6項目の措置、(2)標識の掲示、(3)定期報告が義務づけられています。

6項目の措置義務

住宅宿泊事業者は、下記1から6までの措置(6項目の措置)を講じなくてはなりません。1から4までの目的は「安全・衛生の確保」、5と6の目的は「近隣トラブルの防止」です。

  1. 宿泊者の衛生の確保
    各居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃その他の宿泊者の衛生の確保を図るために必要な措置を講じなければならない(住宅宿泊事業法5条)。
  2. 宿泊者の安全の確保
    非常用照明器具の設置、避難経路の表示その他の火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じなければならない(住宅宿泊事業法6条)。
  3. 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
    外国人観光旅客である宿泊者に対し、住宅宿泊事業を営もうとする住宅として都道府県知事等に届出をした住宅(以下、「届出住宅」という)の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供その他の外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保を図るために必要な措置を講じなければならない(住宅宿泊事業法7条)。
  4. 宿泊者名簿の備付け等
    届出住宅その他の場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の必要事項を記載しなければならない。都道府県知事の要求があったときは、これを提出する義務がある(住宅宿泊事業法8条1項)。
  5. 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
    宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項その他の届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項について説明しなければならない。又、外国人観光客である宿泊者に対しては、外国語を用いて説明しなければならない(住宅宿泊事業法9条)。
  6. 苦情等への対応
    届出住宅の周辺地域の住民からの苦情および問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならない(住宅宿泊事業法10条)。

以上の6項目の措置については、住宅宿泊管理業者に管理業務委託すれば、住宅宿泊事業者は義務を免れます(住宅宿泊事業法11条2項)。

標識の掲示義務

届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、所定の様式の標識を掲げなければなりません(住宅宿泊事業法13条)。標識の掲示については、住宅宿泊管理業者に管理業務委託をしても、住宅宿泊事業者自ら標識を設置しなければなりません(住宅宿泊事業法11条2項)。

定期報告義務

届出住宅に人を宿泊させた日数その他の所定の事項について、定期的に、都道府県知事に報告しなければなりません(住宅宿泊事業法14条)。定期報告については、住宅宿泊管理業者に管理業務委託をしても、住宅宿泊事業者自らの報告する義務があります(住宅宿泊事業法11条2項)。

住宅宿泊管理業務の委託

住宅宿泊事業者は、次の1と2のいずれかに該当するときは、届出住宅の住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなければなりません(住宅宿泊事業法11条1項本文)。

  1. 届出住宅の居室の数が、5を超えるとき
  2. 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものを除く)となるとき。
    ただし、下記(イ)及び(ロ)のいずれにも該当するときは例外的に委託不要です。(イ及びロのいずれにも該当する住宅宿泊事業を「9条4項型」という)

    (イ) 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(住宅宿泊事業者が届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く。)

    (ロ) 届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が5以下であるとき

1と2をまとめると、住宅宿泊事業者は、住宅宿泊管理業務に関し、「家主居住型のうち居室数5以下の場合」、及び「9条4項型」の場合については、委託義務はありません

逆に上記に該当しない場合には、委託義務があるということになります。

そして、委託先はひとつ(1法人または1個人)でなければなりません。複数の委託先に分けて委託をすることは認められません

なお、住宅宿泊事業者住宅宿泊管理業者である場合において、住宅宿泊事業者が自ら届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、住宅宿泊管理業者への委託は不要です(住宅宿泊事業法11条1項ただし書き)。

住宅宿泊管理業

住宅宿泊管理業とは

住宅宿泊管理業とは、住宅宿泊事業者から委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業です。住宅宿泊事業者は、国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者に住宅宿泊管理業務を委託することになります。そして、住宅宿泊管理業者の監督は、国土交通大臣が行います。

住宅宿泊事業における賃貸住宅管理業者の役割

住宅の所有者が住宅を使用する方法としては、従来、自らこれを使用するか、あるいは、賃料を受け取って賃借人に使用させるかの、いずれかでした。これに対し、最近では、これらとは別に、上記のとおり宿泊料を受け取って宿泊客に使用させる住宅宿泊事業(民泊サービス)を行うという方法が始まっています。住宅宿泊事業法に基づいて届出を行えば、住宅宿泊事業を行うことが可能となるなどの制度が設けられ、住宅に関するこのような使用方法が普及してきました。

しかし、住宅宿泊事業(民泊サービス)については、法令を遵守しつつ適切に事業を実施するためには専門性が求められ、知識や経験のない者が容易に行うことはできません。そのため、住宅宿泊に関する専門知識や経験を有するものに業務が委託され、委託を受けた専門家がこれを行うことが必要となります。

そこで、住宅宿泊事業法においては、住宅宿泊事業の適法性が確保され、適切な業務が実施されるように、住宅宿泊事業のうち、「居室数5を超える家主居住型」、および、「9条4項型」では、住宅宿泊事業者は、住宅宿泊管理業務を委託することが義務づけられています(住宅宿泊事業法11条1項本文)。

そして、住宅宿泊事業法に基づいて登録のなされた住宅宿泊管理業者が、住宅宿泊管理の受託業務を行う専門家です。

住宅宿泊事業法においては、住宅宿泊管理業については、賃貸住宅管理業者がこれを行うことが想定されており、住宅宿泊事業法の登録の仕組みにおいても、賃貸住宅管理業者の登録を受けていれば、法令適合性の確保のための体制が整備されるものとされています。

住宅宿泊事業法の基本的な枠組み

住宅宿泊事業法の基本的な枠組み

住宅宿泊管理業者の登録

住宅宿泊管理業を行うためには、国土交通大臣の登録を受けなければなりません(住宅宿泊事業法22条1項)。登録の有効期間は5年です(同条2項)。そして、登録の更新がされたときは、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日からさらに5年間継続します(同条3項・第4項)。

国土交通大臣は、登録の申請がなされたときは、下記登録を拒否する場合に該当しない限り、住宅宿泊管理業者登録簿に登録をします(住宅宿泊事業法24条1項)。そして、登録がなされたときは、申請者および都道府県知事に通知されます(同条2項)。

登録を拒否する場合(欠格事由)

国土交通大臣は、登録を受けようとする者が次の1から11までのいずれかに該当するときは、登録を拒否しなければなりません(欠格事由。住宅宿泊事業法25条1項第1号から第11号まで)。

  1. 心身の故障により住宅宿泊管理業を的確に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 登録を取り消され、取消し後5年を経過しない者(法人である場合にあっては、取消しの日前30日以内に法人の役員であった者で取消しの日から5年を経過しないものを含む)
  4. 禁錮以上の刑に処せられ、またはこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  5. 暴力団員等
  6. 住宅宿泊管理業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
  7. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記1~6のいずれかに該当するもの
  8. 法人であって、上記1~6のいずれかに該当する者が役員として在籍している場合
  9. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  10. 住宅宿泊管理業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない者(負債の合計額が資産の合計額を超えないこと、及び支払不能に陥っていないこと)
  11. 住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者
  12.  

住宅宿泊管理業を的確に遂行するための体制

住宅宿泊管理業を的確に遂行する体制が整備されていないことは、上記(11)の通り、登録の欠格事由です。そのため、住宅宿泊管理業の登録を受けるには、体制の整備がなされていなければなりません。整備すべき体制として、「①管理受託契約の締結に係る業務の執行が法令に適合することを確保するための体制(法令適合性の確保)」、および、「②住宅宿泊管理業務を適切に実施するための体制(適切な業務の実施)」の2つが求められます。

法令適合性の確保のための体制

法令適合性の確保のための体制とは、住宅の管理に関する「責任の所在」および「費用の負担」等を管理受託契約上明らかにし、適切に契約を締結できる人的構成が確保されていることをいいます。

住宅の取引または管理に関する契約に係る依頼者との調整、契約に関する事項の説明、その事項を記載した書面の作成および交付といった、契約実務を伴う業務に2年以上従事した者であること、またはそれらの者と同等の能力を有すると認められることが必要です。

申請者が個人である場合には、「宅地建物取引士の登録を受けていること」、「管理業務主任者の登録を受けていること」、「賃貸住宅管理業法施行規則に規定する登録証明事業の証明を受けていること(賃貸不動産経営管理士であること)」のいずれかが満たされている場合にも、同等の能力を有するものとみなされます。

また、申請者が法人である場合には、「上記の要件を満たす者を従業者として有すること」、「宅地建物取引業者の免許を受けていること」、「マンション管理業者の登録を受けていること」、「賃貸住宅管理業者の登録を受けていること」のいずれかが満たされている場合にも、同等の能力を有するものとみなされます。

適切な業務を実施するための体制

適切な業務を実施するための体制とは、宿泊者の安全確保のための措置(住宅宿泊事業法6条)、宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置(住宅宿泊事業法8条)、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項説明(住宅宿泊事業法9条)、苦情等への対応(住宅宿泊事業法10条)を適切に実施するための体制が整備されていることをいいます。ICT(インターネット)等を用いて遠隔で業務を行うことを予定している場合には、宿泊者との連絡の必要が生じた場合に速やかに、かつ、確実に連絡がとれる機能を備えた機器の設置等を行わなくてはなりません。

管理受託契約の締結前の書面の交付

住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、委託者に対し、管理受託契約を締結するまでに、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項について、書面を交付して説明しなければなりません(住宅宿泊事業法33条1項)。書面の交付に代えて、電磁的方法による情報の提供も認められます(住宅宿泊事業法33条2項)。

管理受託契約の締結前書面の記載事項

  1. 管理受託契約を締結する住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名並びに登録年月日及び登録番号
  2. 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
  3. 住宅宿泊管理業務の内容及び実施方法
  4. 報酬並びにその支払の時期及び方法
  5. 4号に掲げる報酬に含まれていない住宅宿泊管理業務に関する費用であって、住宅宿泊事業者が通常必要とするもの
  6. 住宅宿泊管理業務の一部の再委託に関する事項
  7. 責任及び免責に関する事項
  8. 契約期間に関する事項
  9. 契約の更新及び解除に関する事項

なお、委託者が住宅宿泊管理業者である場合には説明義務は負いません。つまり、委託者が住宅宿泊管理業者である場合には、説明は不要です。

管理受託契約の締結時の書面の交付

住宅宿泊管理業者は、管理受託契約を締結したときは、委託者に対し、遅滞なく、次の1から10までの事項を記載した書面を交付しなければなりません(住宅宿泊事業法34条1項)。書面の交付に代えて、電磁的方法による情報の提供も認められます(住宅宿泊事業法34条2項)。

  1. 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
  2. 住宅宿泊管理業務の実施方法
  3. 契約期間に関する事項
  4. 報酬に関する事項
  5. 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容
  6. 住宅宿泊管理業者の商号、名称又は氏名
  7. 住宅宿泊管理業務の内容
  8. 住宅宿泊管理業務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
  9. 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容
  10. 住宅宿泊事業者への報告に関する事項

住宅宿泊管理業務(住宅宿泊事業者から委託を受けて行う業務)の実施

住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託を受けた住宅宿泊管理業務(「6項目の措置」)について、家主である住宅宿泊事業者の代行として、住宅宿泊事業者同一の義務が課されます

住宅宿泊管理業者の義務

住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊管理業務の実施(6項目の措置)のほかに、次の義務が課されています。

  1. 信義誠実に業務を処理する原則
    信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければなりません(住宅宿泊事業法29条)。
  2. 名義貸しの禁止
    自己の名義をもって、他人に住宅宿泊管理業を営ませてはならない(住宅宿泊事業法30条)。
  3. 誇大広告等の禁止
    業務に関して広告をするときは、住宅宿泊管理業者の責任に関する事項、報酬の額に関する事項、管理受託契約の解除に関する事項について、著しく事実に相違する表示をし、または実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない(住宅宿泊事業法31条、国・厚規則第12条)。
  4. 不当な勧誘等の禁止
    次の行為は禁止されています。
    (1)管理受託契約の締結の勧誘をするに際し、またはその解除を妨げるため、住宅宿泊管理業務を委託し、または委託しようとする住宅宿泊事業者(委託者)に対し、管理受託契約に関する事項であって委託者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為(住宅宿泊事業法32条1号)

    (2)管理受託契約の締結または更新について委託者に迷惑を覚えさせるような時間に電話または訪問により勧誘する行為(住宅宿泊事業法32条2号、国・厚規則第13条1号)

    (3)管理受託契約の締結または更新をしない旨の意思(契約の締結または更新の勧誘を受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示した委託者に対して執ように勧誘する行為(住宅宿泊事業法32条2号、国·厚規則第13条2号)

    (4)住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の所在地その他の事情を勘案して、住宅宿泊管理業務の適切な実施を確保できないことが明らかであるにもかかわらず、住宅宿泊管理業務に係る管理受託契約を締結する行為(住宅宿泊事業法32条2号、国・厚規則第13条3号)

  5. 住宅宿泊管理業務の再委託の禁止(全部の再委託の禁止)
    住宅宿泊事業者から委託された住宅宿泊管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない(住宅宿泊事業法35条)。
  6. 証明書の携帯、請求があったときの提示
    業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない(住宅宿泊事業法37条1項)。
    また、住宅宿泊管理業者の使用人その他の従業者は、その業務を行うに際し、住宅宿泊事業者その他の関係者から請求があったときは、証明書を提示しなければならない(住宅宿泊事業法37条2項)。
  7. 帳簿の備付け等
    営業所または事務所ごとに、業務に関する帳簿を備え付け、住宅ごとに管理受託契約について次の(1)から(6)までの事項を記載し、これを保存しなければならない(住宅宿泊事業法38条)。
    (1)管理受託契約を締結した年月日
    (2)管理受託契約を締結した住宅宿泊事業者の名称
    (3)契約の対象となる届出住宅
    (4)受託した住宅宿泊管理業務の内容
    (5)報酬の額
    (6)管理受託契約における特約その他参考となること
  8. 標識の掲示
    営業所または事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、所定の様式の標識を掲げなければならない(住宅宿泊事業法39条)。
  9. 住宅宿泊事業者への定期報告
    次の(1)から(4)までの事項について、所定の様式により、定期的に、住宅宿泊事業者に報告しなければならない(住宅宿泊事業法40条)。
    (1)報告の対象となる期間
    (2)住宅宿泊管理業務の実施状況
    (3)住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の維持保全の状況
    (4)住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の周辺地域の住民からの苦情の発生状況

住宅宿泊仲介業

住宅宿泊仲介業は、旅行業法に基づく登録を受けた旅行業者以外の者が、報酬を得て、住宅宿泊仲介業務を行う事業です。事業を行うためには、観光庁長官の登録を受けなければなりません(住宅宿泊事業法46条1項)。

住宅宿泊事業者は、宿泊サービス提供契約(宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供に係る契約をいう)の締結の代理または媒介を他人に委託するときは、住宅宿泊仲介業者または旅行業者に委託しなければなりません(住宅宿泊事業法12条)。

住宅宿泊仲介業者には、住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置(宿泊者への契約内容の説明等)が義務づけられています。

住宅宿泊仲介業者の監督は、観光庁長官が行います。

分譲マンション内の住宅宿泊事業

分譲マンションでは規約が定められており、区分所有者・賃借人は、規約に従う義務があります(区分所有法30条1項、第46条2項)。規約において専有部分の用途を住居に限定する定め(住居専用の定め)が設けられている場合、区分所有者・賃借人は、専有部分を住居以外の用途に使用してはなりません。

ところで、住宅宿泊事業は、住宅において人を宿泊させる事業であるから、規約に住居専用の定めが設けられている場合であっても、住宅宿泊事業を行うことは、規約に違反しません。

しかし、規約において、住居専用の定めだけではなく、「住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業や特区民泊を禁止する定め」があれば、区分所有者・賃借人は分譲マンション内で住宅宿泊事業等を行うことはできません。

分譲マンション内における住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業の届出にあたっては、「規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない旨規約に住宅宿泊事業を営むことについての定めがない場合は、管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がない旨)」を届け出なければなりません(住宅宿泊事業法3条2項第7号)。

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