監督処分

業務改善命令

国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、賃貸住宅管理業者に対し、「業務の方法の変更」その他「業務の運営の改善に必要な措置をとるべきこと」を命ずることができます(22条)。
【具体例】 例えば、賃貸管理業者の従業員が管理組合財産を着服した場合、国土交通大臣は、改善措置命令を出して、容易に着服できないよう管理者を置くなど命じたりします。

注意点

賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めないときは、業務改善命令はできません

業務停止命令・登録取消し

賃貸住宅管理業者が下記事由に該当する場合、国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の登録を取り消したり、又は1年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができます(23条1項)。

  1. 心身の故障(精神の機能の障害)により賃貸住宅管理業を的確に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  4. 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 賃貸住宅管理業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者(例えば、登録の取消しの処分に係る聴聞の通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことの決定をする日までの間に、相当の理由なく廃業等の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しない者、いわゆる処分逃れをした者
  6. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記登録拒否事由に該当する者
  7. 法人であって、その役員のうちに上記第1号から第6号までのいずれかに該当する者があるもの
  8. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  9. 賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない者
  10. 営業所又は事務所ごと業務管理者を確実に選任すると認められない者
  11. 不正の手段によ賃貸管理業の登録を受けたとき。
  12. その営む賃貸住宅管理業に関し法令又は業務改善命令に違反したとき。

また、国土交通大臣は、賃貸住宅管理業者が登録を受けてから1年以内に業務を開始せず、又は引き続き1年以上業務を行っていないと認めるときは、その登録を取り消すことができます(23条2項)。

国土交通大臣は、業務停止命令又は登録取消しをしたときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を賃貸住宅管理業者に通知しなければなりません(23条3項)。

登録の抹消

賃貸住宅管理業者について、「登録の更新を受ずに有効期間を経過したことにより登録の効力を失ったとき」又は「廃業等の届出により登録の効力を失ったとき」「登録取消処分事由に該当し、登録の効力を失ったとき」、国土交通大臣は、登録を取り消し、当該登録を抹消しなければなりません(24条)。

監督処分等の公告

国土交通大臣は、業務停止命令又は登録取消処分をしたときは、その旨を公告しなければなりません(25条)。

注意点

業務改善命令をしても、公告をしなくてもよいです。

報告徴収及び立入検査

国土交通大臣は、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、賃貸住宅管理業者に対し、その業務に関し報告を求めることができます。また、報告を求めずに、行政職員に、賃貸住宅管理業者の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させたり、関係者に質問させることができます(26条1項)。
そして、上記、立入検査をする行政職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければなりません(26条2項)。

登録の取消し等に伴う業務の結了

下記のいずれかに該当するときは、「当該登録に係る賃貸住宅管理業者であった者」又は「その一般承継人(相続人)」は、当該賃貸住宅管理業者が締結した管理受託契約に基づく業務を結了する目的の範囲内においては、なお賃貸住宅管理業者とみなします

  1. 賃貸住宅管理業の登録の更新をしなかったとき
  2. 廃業等の届出により登録が効力を失ったとき
  3. 登録取消処分事由に該当し、登録が取り消されたとき

「業務を結了する目的の範囲内においては、なお賃貸住宅管理業者とみなす」の意味については理解が必要なので、個別指導で解説します。

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