令和元年・2019年賃貸不動産経営管理士試験過去問|問1

住生活基本法に基づき令和3年3月19日に閣議決定された住生活基本計画の目標として掲げられている次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 子どもを産み育てやすい住まいの実現
  2. 多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり
  3. 住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティネット機能の整備
  4. 新築住宅の建設促進による安全で質の高い住宅ストックの形成

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【答え:4】
1.子どもを産み育てやすい住まいの実現

1・・・正しい

住生活基本計画では、住生活をめぐる現状と課題に対応するために下記8つの目標が設定されています。

  1. 「新たな日常」やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現
  2. 頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保
  3. 子どもを産み育てやすい住まいの実現(選択肢1)
  4. 多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり(選択肢2)
  5. 住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティネット機能の整備(選択肢3)
  6. 脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成
  7. 空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進
  8. 居住者の利便性や豊かさを向上させる住生活産業の発展

本肢は、上記「目標3」の内容です。上記目標を達成するために、下記2つに要素を分けて、それぞれ基本的な施策を用意しています。

(1)子どもを産み育てやすく良質な住宅の確保

基本的な施策

  1. 住宅の年収倍率の上昇等を踏まえ、時間に追われる若年世帯・子育て世帯の都心居住ニーズもかなえる住宅取得の推進
  2. 駅近等の利便性重視の共働き・子育て世帯等に配慮し、利便性や規模等を総合的にとらえて住宅取得を推進。子どもの人数、生活状況等に応じた柔軟な住替えの推進
  3. 民間賃貸住宅の計画的な維持修繕等により、良質で長期に使用できる民間賃貸住宅ストックの形成と賃貸住宅市場の整備
  4. 防音性や省エネルギー性能、防犯性、保育・教育施設や医療施設等へのアクセスに優れた賃貸住宅の整備

(2)子育てしやすい居住環境の実現とまちづくり

基本的な施策

  1. 住宅団地での建替え等における子育て支援施設や公園・緑地等、コワーキングスペースの整備など、職住や職育が近接する環境の整備
  2. 地域のまちづくり方針と調和したコンパクトシティの推進とともに、建築協定や景観協定等を活用した良好な住環境や街なみ景観の形成

2.多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり

2・・・正しい

本肢は、上記「目標4」の内容です。上記目標を達成するために、下記2つに要素を分けて、それぞれ基本的な施策を用意しています。

(1)高齢者、障害者等が健康で安心して暮らせる住まいの確保

基本的な施策

  1. 改修、住替え、バリアフリー情報の提供等、高齢期に備えた適切な住まい選びの総合的な相談体制の推進
  2. エレベーターの設置を含むバリアフリー性能やヒートショック対策等の観点を踏まえた良好な温熱環境を備えた住宅の整備、リフォームの促進
  3. 高齢者の健康管理や遠隔地からの見守り等のためのIoT技術等を活用したサービスを広く一般に普及
  4. サービス付き高齢者向け住宅等について、地域の需要や医療・介護サービスの提供体制を考慮した地方公共団体の適切な関与を通じての整備・情報開示を推進

(2)支え合いで多世代が共生する持続可能で豊かなコミュニティの形成とまちづくり

基本的な施策

  1. 住宅団地での建替え等における医療福祉施設、高齢者支援施設、孤独・孤立対策にも資するコミュニティスペースの整備等、地域で高齢者世帯が暮らしやすい環境の整備
  2. 三世代同居や近居、身体・生活状況に応じた円滑な住替え等を推進。家族やひとの支え合いで高齢者が健康で暮らし、多様な世代がつながり交流する、ミクストコミュニティの形成

3.住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティネット機能の整備

3・・・正しい

本肢は、上記「目標5」の内容です。上記目標を達成するために、下記2つに要素を分けて、それぞれ基本的な施策を用意しています。

(1)住宅確保要配慮者(低額所得者、高齢者、障害者、外国人等)の住まいの確保

基本的な施策

  1. 住宅セーフティネットの中心的役割を担う公営住宅の計画的な建替え等や、バリアフリー化や長寿命化等のストック改善の推進
  2. 緊急的な状況にも対応できるセーフティネット登録住宅の活用を推進。地方公共団体のニーズに応じた家賃低廉化の推進
  3. UR賃貸住宅については、現行制度となる以前からの継続居住者等の居住の安定に配慮し、地域の実情に応じて公営住宅等の住宅セーフティネットの中心的役割を補う機能も果たしてきており、多様な世帯のニーズに応じた賃貸住宅の提供を進めるとともに、ストック再生を推進し、多様な世帯が安心して住み続けられる環境を整備

(2)福祉政策と一体となった住宅確保要配慮者の入居・生活支援

基本的な施策

  1. 住宅・福祉部局の一体的・ワンストップ対応による公営住宅・セーフティネット登録住宅や、生活困窮者自立支援、生活保護等に関する生活相談・支援体制の確保
  2. 地方公共団体と居住支援協議会等が連携して、孤独・孤立対策の観点も踏まえ、住宅確保要配慮者に対する入居時のマッチング・相談、入居中の見守り・緊急対応等の実施
  3. 賃借人の死亡時に残置物を処理できるよう契約条項を普及啓発多言語の入居手続に関する資料等を内容とするガイドライン等を周知

4.新築住宅の建設促進による安全で質の高い住宅ストックの形成

4・・・誤り

「新築住宅の建設促進による安全で質の高い住宅ストックの形成」は、目標には掲げられていません。新築住宅をドンドン建てるという目標はありません。むしろ、目標7にもある「空き家の適切な管理の促進」から、既存住宅の活用の方に重点が置かれています。


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令和元年・2019年の賃貸不動産経営管理士過去問

問1
住生活基本法
問2
賃貸不動産経営管理士
問3
賃貸住宅管理業法
問4
個人情報保護法
問5
賃貸住宅管理業の登録
問6
賃貸住宅管理業者
問7
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問8
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問9
賃貸借
問10
賃貸借
問11
広告
問12
借主の募集
問13
普通建物賃貸借・定期建物賃貸借
問14
賃貸借(当事者の死亡)
問15
賃貸借・使用貸借
問16
賃貸借(償還請求権)
問17
借主の義務
問18
賃料
問19
敷金
問20
サブリース
問21
原状回復
問22
原状回復
問23
管理受託契約
問24
住宅宿泊事業法
問25
サブリース
問26
防犯対策
問27
賃貸借(未払賃料)
問28
建築基準法(採光規定)
問29
応急危険度判定・罹災証明書
問30
給水設備
問31
排水・通気設備・浄化槽
問32
換気設備
問33
不動産の調査
問34
プロパティマネジメント
問35
不動産の税金
問36
相続税・贈与税
問37
管理業者の役割
問38
倫理憲章
問39
建物の構造・工法
問40
保険

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