令和元年・2019年賃貸不動産経営管理士試験過去問|問16

賃貸物件に関する必要費償還請求権、有益費償還請求権及び造作買取請求権に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
  1. 貸主が行うべき雨漏りの修繕を借主の費用負担で行った場合、借主は賃貸借契約の終了時に限り、支出額相当の費用の償還を請求できる。
  2. 借主の依頼により、ガラス修理業者が割れた窓ガラスを交換した場合、当該業者は貸主に対して必要費償還請求権を行使できる。
  3. 賃貸物件の改良のために借主が支出した費用は、契約終了時に賃貸物件の価格の増加が現存する場合に限り、支出した費用又は増加額の償還を借主が貸主に対して請求できる。
  4. 造作買取請求権を排除する特約は、借主に不利な特約のため、無効である。

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【答え:3】
1.貸主が行うべき雨漏りの修繕を借主の費用負担で行った場合、借主は賃貸借契約の終了時に限り、支出額相当の費用の償還を請求できる。

1・・・不適切

雨漏りの修繕費用は、必要費にあたるため、貸主負担です。それを借主の費用負担で行った場合、借主は、直ちに貸主に対して支出額相当の費用の償還を請求できます(民法608条1項)。よって、「賃貸借契約の終了時に限り」が不適切です。


2.借主の依頼により、ガラス修理業者が割れた窓ガラスを交換した場合、当該業者は貸主に対して必要費償還請求権を行使できる。

2・・・不適切

借主の依頼により、ガラス修理業者が割れた窓ガラスを交換した場合、当該業者は、依頼をした借主に対して請求することができます。そして、借主が修理費用を支払ったうえで、借主が貸主に対して必要費償還請求権を行使できます(民法608条1項)。


3.賃貸物件の改良のために借主が支出した費用は、契約終了時に賃貸物件の価格の増加が現存する場合に限り、支出した費用又は増加額の償還を借主が貸主に対して請求できる。

3・・・適切

賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、その価格の増加が現存する場合に限り、賃貸人の選択に従い、「その支出した金額」又は「増価額」を、その償還をしなければなりません(民法608条2項、196条2項)。つまり、支出した費用又は増加額の償還を借主が貸主に対して請求できます。よって、適切です。

なお、「賃貸人の選択に従い」となっているので、「その支出した金額」又は「増価額」のどちらを選ぶかは、貸主が決めます。通常、増加額の方が金額が低くなるので、こちらを採用します。


4.造作買取請求権を排除する特約は、借主に不利な特約のため、無効である。

4・・・不適切

造作買取請求権を排除する特約は、有効です。そもそも造作は、建物から取り外しができるエアコンなどです。そのため、エアコンの費用を貸主が支払わない場合、借主は、エアコンだけを取り外して明け渡したらいいだけです。買い取ってもらう必要はないので、造作買取請求権を排除する特約は有効としています。


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令和元年・2019年の賃貸不動産経営管理士過去問

問1
住生活基本法
問2
賃貸不動産経営管理士
問3
賃貸住宅管理業法
問4
個人情報保護法
問5
賃貸住宅管理業の登録
問6
賃貸住宅管理業者
問7
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問8
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問9
賃貸借
問10
賃貸借
問11
広告
問12
借主の募集
問13
普通建物賃貸借・定期建物賃貸借
問14
賃貸借(当事者の死亡)
問15
賃貸借・使用貸借
問16
賃貸借(償還請求権)
問17
借主の義務
問18
賃料
問19
敷金
問20
サブリース
問21
原状回復
問22
原状回復
問23
管理受託契約
問24
住宅宿泊事業法
問25
サブリース
問26
防犯対策
問27
賃貸借(未払賃料)
問28
建築基準法(採光規定)
問29
応急危険度判定・罹災証明書
問30
給水設備
問31
排水・通気設備・浄化槽
問32
換気設備
問33
不動産の調査
問34
プロパティマネジメント
問35
不動産の税金
問36
相続税・贈与税
問37
管理業者の役割
問38
倫理憲章
問39
建物の構造・工法
問40
保険

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