令和元年・2019年賃貸不動産経営管理士試験過去問|問27

未収賃料の回収、明渡しに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
  1. 管理受託方式の管理業者が、貸主に代わって管理業者の名前で借主に賃料の請求をする行為は、弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)に抵触する可能性がある。
  2. サブリース方式による管理業者が、滞納者である借主の住所地を管轄する簡易裁判所に支払督促の申立てをし、これに対し借主が異議の申立てをしなかった場合、当該支払督促が確定判決と同一の効力を有する。
  3. 少額訴訟と支払督促は、いずれも簡易裁判所による法的手続であるが、相手方から異議が出された場合、少額訴訟は同じ裁判所で通常訴訟として審理が開始され、支払督促は請求額によっては地方裁判所で審理される。
  4. 公正証書による強制執行は、金銭の請求については執行可能であるが、建物明渡しについては執行ができない。

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【答え:2】
1.管理受託方式の管理業者が、貸主に代わって管理業者の名前で借主に賃料の請求をする行為は、弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)に抵触する可能性がある。

1・・・適切

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件等の法律事務を取り扱うことはできません(弁護士法72条)。そして、管理受託方式の管理業者が、貸主に代わって管理業者の名前で借主に賃料の請求をする行為は、弁護士法72条に違反する可能性があります。


2.サブリース方式による管理業者が、滞納者である借主の住所地を管轄する簡易裁判所に支払督促の申立てをし、これに対し借主が異議の申立てをしなかった場合、当該支払督促が確定判決と同一の効力を有する。

2・・・不適切

支払督促の流れは次の通りです。

  1. 債権者が、簡易裁判所の書記官に「支払督促の申立て」をする。
  2. 債務者は、支払督促の送達を受けてから2週間以内に異議を申し立てる。
  3. 債務者からの異議がない場合、債権者は、簡易裁判所の書記官に「仮執行宣言の申立て」をする。
  4. 債務者は、仮執行宣言の申立てを付した支払督促の送達を受けてから2週間以内に異議を申し立てる。
  5. 債務者からの異議がない場合支払督促は確定判決と同一の効力を有する

仮執行宣言とは、裁判が確定する前でも執行することのできる効力を与えるものです。そして、「仮執行宣言の申立て」に対して債務者が異議を申し立てない場合、支払督促は確定判決と同一の効力を有します。「3」の段階では、確定判決と同一の効力は有しないので、支払督促の申立てをし、これに対し借主が異議の申立てをしなかったしても、これだけでは、当該支払督促が確定判決と同一の効力を有しません。


3.少額訴訟と支払督促は、いずれも簡易裁判所による法的手続であるが、相手方から異議が出された場合、少額訴訟は同じ裁判所で通常訴訟として審理が開始され、支払督促は請求額によっては地方裁判所で審理される。

3・・・適切

少額訴訟訴訟額60万円以下)は、簡易裁判所で審理します。

一方、支払督促は、140万円以下のものは簡易裁判所140万円超のものは地方裁判所で審理します。よって、本肢は適切です。


4.公正証書による強制執行は、金銭の請求については執行可能であるが、建物明渡しについては執行ができない。

4・・・適切

明渡しについては、公正証書によって強制執行することはできません。建物の明渡しの強制執行をするためには、不動産の明渡しの強制執行をするためには、訴えを提起し、給付判決(建物の明け渡しを認める判決)を取得することが必要です。

一方、金銭債務の執行(金銭の請求)については、公正証書により強制執行ができます


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令和元年・2019年の賃貸不動産経営管理士過去問

問1
住生活基本法
問2
賃貸不動産経営管理士
問3
賃貸住宅管理業法
問4
個人情報保護法
問5
賃貸住宅管理業の登録
問6
賃貸住宅管理業者
問7
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問8
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問9
賃貸借
問10
賃貸借
問11
広告
問12
借主の募集
問13
普通建物賃貸借・定期建物賃貸借
問14
賃貸借(当事者の死亡)
問15
賃貸借・使用貸借
問16
賃貸借(償還請求権)
問17
借主の義務
問18
賃料
問19
敷金
問20
サブリース
問21
原状回復
問22
原状回復
問23
管理受託契約
問24
住宅宿泊事業法
問25
サブリース
問26
防犯対策
問27
賃貸借(未払賃料)
問28
建築基準法(採光規定)
問29
応急危険度判定・罹災証明書
問30
給水設備
問31
排水・通気設備・浄化槽
問32
換気設備
問33
不動産の調査
問34
プロパティマネジメント
問35
不動産の税金
問36
相続税・贈与税
問37
管理業者の役割
問38
倫理憲章
問39
建物の構造・工法
問40
保険

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