令和元年・2019年賃貸不動産経営管理士試験過去問|問34

プロパティマネジメント業務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. プロパティマネジメントにおいては、所有者の変更に伴う業務は、投資家のために重要性が高い業務ではなく、アセットマネージャーの業務である。
  2. プロパティマネジメントにおいては、賃料等を徴収し、預託金を受領し、必要な経費を支出し、アセットマネージャーとの間で経理処理を行い、これらを取りまとめて報告書を作成する。
  3. 賃貸借に関する提案業務には、借主の維持を意味するテナントリテンション(tenantretention)に関する内容は含まれない。
  4. 現存する建物の価値を維持することに加え、さらに管理の質を高め、長期的な観点から建物の価値を高める改修を行うことについて積極的な計画、提案を行うのは、プロパティマネージャーの役割ではない。

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【答え:2】
1.プロパティマネジメントにおいては、所有者の変更に伴う業務は、投資家のために重要性が高い業務ではなく、アセットマネージャーの業務である。

1・・・不適切

所有者の変更に伴う業務は、重要なプロパティマネジメント業務です。よって、本肢は「アセットマネージャーの業務」が不適切です。正しくは「プロパティマネージャー」です。

証券化された物件では、投資目的を達成すると権利は譲渡されるため、物件の権利者が頻繁に交代します。そのため、プロパティマネジメントにおいても、不動産の権利者が移転し、賃貸借の当事者が変更することにかかわる業務が必要になります。所有者の交代に際し、旧所有者から新所有者に賃貸人の地位が円滑に引き継がれるように尽力することは、重要なプロパティマネジメント業務です。


2.プロパティマネジメントにおいては、賃料等を徴収し、預託金を受領し、必要な経費を支出し、アセットマネージャーとの間で経理処理を行い、これらを取りまとめて報告書を作成する。

2・・・適切

プロパティマネージャーは、賃料等を徴収し、預託金を受領し、必要な経費を支出し、アセットマネージャーとの間で経理処理を行い、これらを取りまとめて報告書を作成します。

この報告業務は、プロパティマネージャーの重要な業務です。


3.賃貸借に関する提案業務には、借主の維持を意味するテナントリテンション(tenantretention)に関する内容は含まれない。

3・・・不適切

プロパティマネジメントにおける業務には、「賃貸借に関する提案業務」があり、「賃貸借に関する提案業務」には、テナントリテンション(TenantRetention)が含まれます。よって、本肢は不適切です。

テナントリテンションとは、賃借人の維持(賃借人に住み続けてもらうこと)です。従来の賃貸管理では、賃借人の入れ替えは、手数料獲得の機会となるために、媒介業務も同時に行う管理業者にとっては、歓迎すべきことでした。しかし、投資家の立場に立ってみれば、賃借人の入れ替えによって空室リスクが生じ、コストが発生することは、不利なことです。プロパティマネジメントが、投資家の利益のために行われることを考えれば、可能な限り既存の賃借人が退去しないように引き留め、維持しておくことは、プロパティマネジメント会社の責務となります。そのため、プロパティマネジメントの観点からは、賃借人を引き留め、維持することも、賃貸管理業務の内容をなすものとなります。


4.現存する建物の価値を維持することに加え、さらに管理の質を高め、長期的な観点から建物の価値を高める改修を行うことについて積極的な計画、提案を行うのは、プロパティマネージャーの役割ではない。

4・・・不適切

プロパティマネジメントにおける業務には、中・長期的な改修・修繕の計画を策定し、実施する業務があります。これをコンストラクションマネジメント(CM)といいます。プロパティマネージャーには、収益拡大とコスト削減の両面から、具体的に、計画の基礎資料の収集、計画策定など調査、提案が求められます。そのために、最近では、年間予算を作成することも、プロパティマネジメントに含むのが、一般的になっています。よって、本肢はプロパティマネージャーの役割なので、不適切です。


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令和元年・2019年の賃貸不動産経営管理士過去問

問1
住生活基本法
問2
賃貸不動産経営管理士
問3
賃貸住宅管理業法
問4
個人情報保護法
問5
賃貸住宅管理業の登録
問6
賃貸住宅管理業者
問7
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問8
賃貸住宅管理業法(法改正により削除)
問9
賃貸借
問10
賃貸借
問11
広告
問12
借主の募集
問13
普通建物賃貸借・定期建物賃貸借
問14
賃貸借(当事者の死亡)
問15
賃貸借・使用貸借
問16
賃貸借(償還請求権)
問17
借主の義務
問18
賃料
問19
敷金
問20
サブリース
問21
原状回復
問22
原状回復
問23
管理受託契約
問24
住宅宿泊事業法
問25
サブリース
問26
防犯対策
問27
賃貸借(未払賃料)
問28
建築基準法(採光規定)
問29
応急危険度判定・罹災証明書
問30
給水設備
問31
排水・通気設備・浄化槽
問32
換気設備
問33
不動産の調査
問34
プロパティマネジメント
問35
不動産の税金
問36
相続税・贈与税
問37
管理業者の役割
問38
倫理憲章
問39
建物の構造・工法
問40
保険

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