令和2年・2020年賃貸不動産経営管理士試験過去問|問5

住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づき登録された賃貸住宅(以下、本問において「セーフティネット住宅」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. セーフティネット住宅は、あらゆる住宅確保要配慮者の入居を常に拒まない賃貸住宅である。
  2. セーフティネット住宅の貸主は、バリアフリー等の改修費に対し、国や地方公共団体等による経済的支援を受けることができる。
  3. セーフティネット住宅に入居する住宅確保要配慮者が支払う家賃に対し、国や地方公共団体等による経済的支援が行われる。
  4. セーフティネット住宅の借主が生活保護受給者であって家賃滞納のおそれがある場合、保護の実施機関が住宅扶助費を貸主に代理納付することができる。

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【答え:1】
1.セーフティネット住宅は、あらゆる住宅確保要配慮者の入居を常に拒まない賃貸住宅である。

1・・・誤り

登録事業者は、登録住宅に入居を希望する住宅確保要配慮者に対し、住宅確保要配慮者であることを理由として、入居を拒んではいけません(住宅セーフティネット法17条)。ただし、登録の際には、入居を拒まない住宅確保要配慮者の範囲を限定することが可能です。例えば、「障害者の入居は拒まない」として登録したり、「高齢者、低額所得者、被災者の入居は拒まない」として登録したりすることができます。よって、本肢は「あらゆる住宅確保要配慮者の入居を常に拒まない賃貸住宅」という記述は誤りです。


2.セーフティネット住宅の貸主は、バリアフリー等の改修費に対し、国や地方公共団体等による経済的支援を受けることができる。

2・・・正しい

住宅確保要配慮者の入居を受け入れることとしている賃貸住宅(セーフティネット住宅)は、建築物ごとに、都道府県知事の登録を受けることができます(住宅セーフティネット法8条)。この登録を受けるためには、一定の耐震性が必要であったりします。そのための改修支援として、改修費に対する国や地方公共団体による補助制度があります。よって、セーフティネット住宅の貸主は、バリアフリー等の改修費に対し、国や地方公共団体等による経済的支援を受けることができます。したがって、本肢は正しいです。


3.セーフティネット住宅に入居する住宅確保要配慮者が支払う家賃に対し、国や地方公共団体等による経済的支援が行われる。

3・・・正しい

登録住宅の入居者への経済的支援としては、「①家賃と家賃債務保証料等の低廉化」及び「②セーフティネット住宅への住替え」に対する補助があります。いずれも、セーフティネット登録住宅に低額所得者が入居する場合に、地方公共団体と国が協力して補助を行うものです。

「①家賃と家賃債務保証料等の低廉化」は、「(1)家賃低廉化補助」と「(2)家賃債務保証料低廉化補助」に分けられます。

(1)家賃低廉化補助とは、登録住宅に入居する低額所得者の負担を軽減するために、家賃を通常の市場家賃よりも減額した賃貸人に対して、自治体が必要と認めた場合、その減額分を補助するものです(1戸あたり年最大6万円の補助)。

(2)家賃債務保証料低廉化補助とは、登録住宅に入居する低額所得者の負担を軽減するために、家賃債務保証料を通常の保証料よりも減額した保証業者に対して、自治体が必要と認めた場合、その減額分を補助するものです(1戸あたり毎月最大4万円)。

そして、本肢は「セーフティネット住宅に入居する住宅確保要配慮者が支払う家賃に対し、国や地方公共団体等による経済的支援が行われる」となっているので、(1)家賃低廉化補助の内容です。よって、正しいです。


4.セーフティネット住宅の借主が生活保護受給者であって家賃滞納のおそれがある場合、保護の実施機関が住宅扶助費を貸主に代理納付することができる。

4・・・正しい

借主が生活保護受給者であり家賃滞納のおそれがある場合、保護の実施機関(福祉事務所)は、生活保護者(借主)ではなく、セーフティネット住宅の賃貸人に対して直接住宅扶助費等を支払うことができます(住宅セーフティネット法21条・生活保護法37条の2)。これを代理納付といいます。よって、本肢は正しいです。


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令和2年・2020年の賃貸不動産経営管理士過去問

問1
不動産業
問2
賃貸住宅管理業者の社会的責務
問3
個人情報保護法
問4
賃貸不動産経営管理士
問5
セーフティネット住宅
問6
サブリース契約
問7
賃貸住宅管理業法
問8
賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
問9
賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
問10
賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
問11
賃貸借
問12
管理受託契約とサブリース契約
問13
契約の成立・契約書
問14
特定賃貸借標準契約書
問15
賃貸住宅標準管理受託契約書
問16
宅建業法
問17
宅建業法
問18
宅建業法・景表法
問19
賃貸借(定期建物賃貸借)
問20
賃貸借(敷金)
問21
賃貸借(賃料の供託)
問22
賃貸借(弁済の充当)
問23
賃貸借(修繕)
問24
賃貸借(解除)
問25
賃貸借と破産
問26
賃貸借(保証)
問27
賃貸借(抵当権)
問28
賃貸借(更新・終了)
問29
建物明渡訴訟・強制執行
問30
賃貸借(廃棄物)
問31
原状回復ガイドライン
問32
原状回復ガイドライン
問33
個人情報の取り扱い
問34
賃貸借(未収賃料の回収)
問35
賃貸借(賃料の増減額請求)
問36
防犯・防火対策
問37
建物の修繕履歴
問38
建物設備(屋根・外壁)
問39
建物設備(漏水)
問40
建物設備(給水設備・給湯設備)
問41
建物設備(電気設備)
問42
保険
問43
贈与税・相続税
問44
不動産所得
問45
プロパティマネジメント
問46
住生活基本計画
問47
賃貸不動産経営管理士の倫理憲章
問48
建築基準法(天井)
問49
不動産の税金
問50
不動産証券化

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