令和2年・2020年賃貸不動産経営管理士試験過去問|問22

賃貸人Aは賃借人Bに対して、賃料(共益費込み)月額金10万円、当月分前月末日払い、遅延した場合は年10%の遅延損害金を請求できる旨の約定でアパートの一室を賃貸した。Bは、令和6年10月分、同年11月分及び同年12月分の賃料を滞納したが、同年12月15日、Aに金20万円を持参した。この場合、賃料の充当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  1. 弁済の充当に関する民法の定めは強行規定であるため、AB間でこれと異なる合意をしても無効である。
  2. Aは、Bが充当を指定しない場合、金20万円を受領時に、いずれの債務に充当するかを指定することができる。
  3. Bは、Aに対して、令和6年10月分の賃料及び同月分の遅延損害金に金20万円を優先的に充当するよう指定することができない。
  4. Bが持参した現金は、遅延損害金、元本及び費用の順で充当される。

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【答え:2】
1.弁済の充当に関する民法の定めは強行規定であるため、AB間でこれと異なる合意をしても無効である。

1・・・誤り

弁済の充当に関する民法の定めは任意規定であるため、AB間でこれと異なる合意をすれば、その合意は有効です。よって、誤りです。

弁済充当とは、債務者がお金を弁済した場合において、その弁済では、債務の全部を消滅させるのに不足がある場合に、その弁済をどの債務の弁済に充てるかをいいます。 つまり、弁済をしても、元本、利息及び費用の全部を消滅させるに足りないときに、どれから消滅をさせていくかということです。 例えば、賃料100万円の店舗で、賃料を滞納していたので、1万円の利息(遅延損害金)が発生した場合において、合計101万円の債務が存在します。ここで、賃借人が100万円を払った場合、賃料と利息のどれから弁済するかということです。


2.賃貸人Aは、賃借人Bが充当を指定しない場合、金20万円を受領時に、いずれの債務に充当するかを指定することができる。

2・・・正しい

本問は「令和6年10月分の賃料債務(10万円)」、「同年11月分の賃料債務(10万円)」「同年12月分の賃料債務(10万円)」という風に複数の債務が存在しています。この場合、下記の順番で充当します(民法488条)。

  1. 弁済者(賃借人)が弁済の時において、その弁済を充当すべき債務を指定したら、それに従う。・・・選択肢3
  2. 弁済者(賃借人)がこの指定をしなかったときは、弁済受領者(賃貸人)がその受領の時において、どこから充当するか決めることができる。ただし、弁済者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、弁済者に決定権がある

本肢は、賃借人Bからの指定がないので、弁済受領者Aが、充当すべき債務を指定することができます。よって、正しいです。


3.賃借人Bは、賃貸人Aに対して、令和6年10月分の賃料及び同月分の遅延損害金に金20万円を優先的に充当するよう指定することができない。

3・・・誤り

選択肢2の解説(1)の通り、弁済者(賃借人)はその弁済を充当すべき債務を指定できます。そのため、賃借人Bは、「10月分の賃料」と「遅延損害金」に優先的に充当するように指定することができます。よって、本肢は誤りです。


4.賃借人Bが持参した現金は、遅延損害金、元本及び費用の順で充当される。

4・・・誤り

弁済の充当に関して、民法では、下記順番で考えるとしています(民法489条1項)。

  1. 合意(特約)があれば、その合意(特約)に従う。
  2. 合意がなければ、費用⇒利息⇒元本の順に充当する。

Bが持参した現金について、合意があれば、その順番で充当されますが、合意がない場合、費用⇒利息(遅延損害金)⇒元本の順で充当されます。したがって、本肢は「遅延損害金、元本及び費用の順」となっているので誤りです。


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令和2年・2020年の賃貸不動産経営管理士過去問

問1
不動産業
問2
賃貸住宅管理業者の社会的責務
問3
個人情報保護法
問4
賃貸不動産経営管理士
問5
セーフティネット住宅
問6
サブリース契約
問7
賃貸住宅管理業法
問8
賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
問9
賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
問10
賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
問11
賃貸借
問12
管理受託契約とサブリース契約
問13
契約の成立・契約書
問14
特定賃貸借標準契約書
問15
賃貸住宅標準管理受託契約書
問16
宅建業法
問17
宅建業法
問18
宅建業法・景表法
問19
賃貸借(定期建物賃貸借)
問20
賃貸借(敷金)
問21
賃貸借(賃料の供託)
問22
賃貸借(弁済の充当)
問23
賃貸借(修繕)
問24
賃貸借(解除)
問25
賃貸借と破産
問26
賃貸借(保証)
問27
賃貸借(抵当権)
問28
賃貸借(更新・終了)
問29
建物明渡訴訟・強制執行
問30
賃貸借(廃棄物)
問31
原状回復ガイドライン
問32
原状回復ガイドライン
問33
個人情報の取り扱い
問34
賃貸借(未収賃料の回収)
問35
賃貸借(賃料の増減額請求)
問36
防犯・防火対策
問37
建物の修繕履歴
問38
建物設備(屋根・外壁)
問39
建物設備(漏水)
問40
建物設備(給水設備・給湯設備)
問41
建物設備(電気設備)
問42
保険
問43
贈与税・相続税
問44
不動産所得
問45
プロパティマネジメント
問46
住生活基本計画
問47
賃貸不動産経営管理士の倫理憲章
問48
建築基準法(天井)
問49
不動産の税金
問50
不動産証券化

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