- 弁済の充当に関する民法の定めは強行規定であるため、AB間でこれと異なる合意をしても無効である。
- Aは、Bが充当を指定しない場合、金20万円を受領時に、いずれの債務に充当するかを指定することができる。
- Bは、Aに対して、令和6年10月分の賃料及び同月分の遅延損害金に金20万円を優先的に充当するよう指定することができない。
- Bが持参した現金は、遅延損害金、元本及び費用の順で充当される。
1・・・誤り
弁済の充当に関する民法の定めは任意規定であるため、AB間でこれと異なる合意をすれば、その合意は有効です。よって、誤りです。
弁済充当とは、債務者がお金を弁済した場合において、その弁済では、債務の全部を消滅させるのに不足がある場合に、その弁済をどの債務の弁済に充てるかをいいます。 つまり、弁済をしても、元本、利息及び費用の全部を消滅させるに足りないときに、どれから消滅をさせていくかということです。 例えば、賃料100万円の店舗で、賃料を滞納していたので、1万円の利息(遅延損害金)が発生した場合において、合計101万円の債務が存在します。ここで、賃借人が100万円を払った場合、賃料と利息のどれから弁済するかということです。
2・・・正しい
本問は「令和6年10月分の賃料債務(10万円)」、「同年11月分の賃料債務(10万円)」「同年12月分の賃料債務(10万円)」という風に複数の債務が存在しています。この場合、下記の順番で充当します(民法488条)。
- 弁済者(賃借人)が弁済の時において、その弁済を充当すべき債務を指定したら、それに従う。・・・選択肢3
- 弁済者(賃借人)がこの指定をしなかったときは、弁済受領者(賃貸人)がその受領の時において、どこから充当するか決めることができる。ただし、弁済者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、弁済者に決定権がある。
本肢は、賃借人Bからの指定がないので、弁済受領者Aが、充当すべき債務を指定することができます。よって、正しいです。
3・・・誤り
選択肢2の解説(1)の通り、弁済者(賃借人)はその弁済を充当すべき債務を指定できます。そのため、賃借人Bは、「10月分の賃料」と「遅延損害金」に優先的に充当するように指定することができます。よって、本肢は誤りです。
4・・・誤り
弁済の充当に関して、民法では、下記順番で考えるとしています(民法489条1項)。
- 合意(特約)があれば、その合意(特約)に従う。
- 合意がなければ、費用⇒利息⇒元本の順に充当する。
Bが持参した現金について、合意があれば、その順番で充当されますが、合意がない場合、費用⇒利息(遅延損害金)⇒元本の順で充当されます。したがって、本肢は「遅延損害金、元本及び費用の順」となっているので誤りです。
令和2年・2020年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 不動産業
- 問2
- 賃貸住宅管理業者の社会的責務
- 問3
- 個人情報保護法
- 問4
- 賃貸不動産経営管理士
- 問5
- セーフティネット住宅
- 問6
- サブリース契約
- 問7
- 賃貸住宅管理業法
- 問8
- 賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
- 問9
- 賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
- 問10
- 賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
- 問11
- 賃貸借
- 問12
- 管理受託契約とサブリース契約
- 問13
- 契約の成立・契約書
- 問14
- 特定賃貸借標準契約書
- 問15
- 賃貸住宅標準管理受託契約書
- 問16
- 宅建業法
- 問17
- 宅建業法
- 問18
- 宅建業法・景表法
- 問19
- 賃貸借(定期建物賃貸借)
- 問20
- 賃貸借(敷金)
- 問21
- 賃貸借(賃料の供託)
- 問22
- 賃貸借(弁済の充当)
- 問23
- 賃貸借(修繕)
- 問24
- 賃貸借(解除)
- 問25
- 賃貸借と破産
- 問26
- 賃貸借(保証)
- 問27
- 賃貸借(抵当権)
- 問28
- 賃貸借(更新・終了)
- 問29
- 建物明渡訴訟・強制執行
- 問30
- 賃貸借(廃棄物)
- 問31
- 原状回復ガイドライン
- 問32
- 原状回復ガイドライン
- 問33
- 個人情報の取り扱い
- 問34
- 賃貸借(未収賃料の回収)
- 問35
- 賃貸借(賃料の増減額請求)
- 問36
- 防犯・防火対策
- 問37
- 建物の修繕履歴
- 問38
- 建物設備(屋根・外壁)
- 問39
- 建物設備(漏水)
- 問40
- 建物設備(給水設備・給湯設備)
- 問41
- 建物設備(電気設備)
- 問42
- 保険
- 問43
- 贈与税・相続税
- 問44
- 不動産所得
- 問45
- プロパティマネジメント
- 問46
- 住生活基本計画
- 問47
- 賃貸不動産経営管理士の倫理憲章
- 問48
- 建築基準法(天井)
- 問49
- 不動産の税金
- 問50
- 不動産証券化