- 賃料の支払を1か月でも滞納すれば貸主が催告を経ずに賃貸借契約を解除できるという特約を定めた場合、11月分までの賃料に滞納はなかったが、11月末日が支払期限である12月分の賃料が支払われなかったときは、12月1日に貸主が行った解除通知は有効である。
- 借主に対して解除を通知した上で建物明渡請求訴訟を提起した貸主は、賃料の不払につき借主に故意過失があったことについては立証する必要はない。
- 賃料不払のため契約を解除すると口頭で伝えられた借主が、通知を書面で受け取っていないので解除は無効であると反論したが、このような反論は解除の効力に関係がない。
- 賃料が3か月間滞納されていることを理由に契約を解除するとの通知書を受け取った借主が、それまで一度も滞納賃料の催告を受けたことがないので解除は無効であると反論したが、このような反論は解除の効力に関係がない。
- ア、エ
- イ、ウ
- ウ、エ
- ア、イ
ア・・・誤り
1回分の賃料不払いでは信頼関係が破壊されたとはみなされないので、賃貸借契約を解除することはできません(最判昭43.11.21)。よって、「賃料の支払を1か月でも滞納すれば貸主が催告を経ずに賃貸借契約を解除できる」という特約を定めたとしても、この特約は有効とはなりません。よって、誤りです。
イ・・・正しい
建物明渡請求訴訟を提起する場合、借主が「家賃滞納(債務不履行)について借主に故意または過失がないこと」を証明する必要があります。貸主に立証責任はないので、正しいです。
本問は内容が難しいので、個別指導で理解の仕方を解説します。
ウ・・・正しい
解除は、相手方に対する意思表示によって行えばよく(民法540条1項)、口頭でも有効です。そのため、「通知を書面で受け取っていないので解除は無効である」と反論しても、解除の効力に関係なく、解除は有効です。
エ・・・誤り
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができます(民法541条:催告による解除)。3か月間の賃料の滞納があったとしても、催告をしなければ解除は無効となります。したがって、一度も滞納賃料の催告を受けたことがないので解除は無効であると反論すれば、これは解除の効力を妨げることができるので、解除の効力に関係します。よって、本肢は誤りです。
本問は、関連する判例が非常に重要なので、個別指導で解説します!
令和2年・2020年の賃貸不動産経営管理士過去問
- 問1
- 不動産業
- 問2
- 賃貸住宅管理業者の社会的責務
- 問3
- 個人情報保護法
- 問4
- 賃貸不動産経営管理士
- 問5
- セーフティネット住宅
- 問6
- サブリース契約
- 問7
- 賃貸住宅管理業法
- 問8
- 賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
- 問9
- 賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
- 問10
- 賃貸住宅管理業者登録規程(改正により削除)
- 問11
- 賃貸借
- 問12
- 管理受託契約とサブリース契約
- 問13
- 契約の成立・契約書
- 問14
- 特定賃貸借標準契約書
- 問15
- 賃貸住宅標準管理受託契約書
- 問16
- 宅建業法
- 問17
- 宅建業法
- 問18
- 宅建業法・景表法
- 問19
- 賃貸借(定期建物賃貸借)
- 問20
- 賃貸借(敷金)
- 問21
- 賃貸借(賃料の供託)
- 問22
- 賃貸借(弁済の充当)
- 問23
- 賃貸借(修繕)
- 問24
- 賃貸借(解除)
- 問25
- 賃貸借と破産
- 問26
- 賃貸借(保証)
- 問27
- 賃貸借(抵当権)
- 問28
- 賃貸借(更新・終了)
- 問29
- 建物明渡訴訟・強制執行
- 問30
- 賃貸借(廃棄物)
- 問31
- 原状回復ガイドライン
- 問32
- 原状回復ガイドライン
- 問33
- 個人情報の取り扱い
- 問34
- 賃貸借(未収賃料の回収)
- 問35
- 賃貸借(賃料の増減額請求)
- 問36
- 防犯・防火対策
- 問37
- 建物の修繕履歴
- 問38
- 建物設備(屋根・外壁)
- 問39
- 建物設備(漏水)
- 問40
- 建物設備(給水設備・給湯設備)
- 問41
- 建物設備(電気設備)
- 問42
- 保険
- 問43
- 贈与税・相続税
- 問44
- 不動産所得
- 問45
- プロパティマネジメント
- 問46
- 住生活基本計画
- 問47
- 賃貸不動産経営管理士の倫理憲章
- 問48
- 建築基準法(天井)
- 問49
- 不動産の税金
- 問50
- 不動産証券化