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賃貸不動産経営管理士とは?試験の全体像と学び方を初学者向けに解説【2027年対策】

賃貸不動産経営管理士の試験は、法律、建物、設備、お金の管理、税金と、出題される分野がとても広い試験です。何から手をつければよいのか分からず、テキストを開いたまま止まってしまう方も少なくありません。この記事では、動画「賃貸管理士 分野別 超入門」の第1回として、賃貸不動産経営管理士という資格の役割と、試験の形・難しさ・出題範囲・学ぶ順番を、初めての方にも分かるように解説します。

この記事の結論

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理の専門家の資格で、2021年度の試験から国家資格になりました。200戸以上を管理する管理業者は国に登録し、営業所ごとに業務管理者を置く必要があり、賃貸不動産経営管理士はこの業務管理者になることができます。試験は11月の第3日曜日に、50問・2時間で行われていて、受験資格はありません。令和7年度の合格率は29.5%、合格点は38点で、賃貸住宅管理業法と賃貸借契約で全体のおよそ半分が出題されます。

賃貸不動産経営管理士とは?

「賃貸不動産経営管理士」とは、アパートやマンションなどの賃貸住宅の管理を行う、専門家の資格のことを言います。日本では多くの人が賃貸住宅に住んでいますが、オーナーには高齢の方や、仕事を持ちながら物件を持っている方も多く、家賃の集金、建物の点検や修理の手配、入居者からの相談への対応までを、自分ですべて行うのは大変です。そこで、管理の仕事を専門の会社に任せることが増えてきました。

ところが、管理の会社によって仕事の質にばらつきがあり、オーナーや入居者とのトラブルも起きていました。そこで作られたのが、賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)です。この法律ができたことで、賃貸不動産経営管理士は、2021年度の試験から国家資格になりました。

賃貸住宅の管理に出てくる登場人物

賃貸住宅の管理には、建物を持っている「オーナー」、部屋を借りて住んでいる「入居者」、その間に入る「管理会社」が登場します。オーナーが管理会社に建物の管理を任せる契約を「管理受託契約」と言い、管理会社はオーナーの代わりに、家賃を集めたり、点検や修理の手配をしたり、入居者からの相談に対応したりします。

もう1つの形が「サブリース」です。サブリースとは、業者がオーナーから建物をまとめて借りて、その部屋を入居者に貸す形のことを言います。このときの業者は、オーナーから見ると借りる人で、入居者から見ると貸す人になります。試験の問題文には、この4者の関係がくり返し出てくるので、最初に整理しておくことが大切です。

登場人物立場試験での呼び方の例
オーナー建物を持っていて、部屋を貸す人賃貸人・貸主・委託者
入居者部屋を借りて住む人賃借人・借主
管理会社オーナーから管理を任される会社賃貸住宅管理業者・管理業者
サブリース業者オーナーから借りて、入居者に貸す業者特定転貸事業者

業務管理者とは?賃貸不動産経営管理士が必要になる場面

「業務管理者」とは、営業所や事務所で行われる管理の仕事が、法律に従って正しく行われているかを、管理・監督する責任者のことを言います。賃貸住宅管理業法では、200戸以上の賃貸住宅を管理する会社は国土交通大臣の登録を受けなければならず、登録を受けた会社は、営業所や事務所ごとに業務管理者を1人以上置かなければなりません。

この業務管理者になれるのが、賃貸不動産経営管理士の資格を持つ人などです。管理会社にとっては、業務管理者がいなければ営業所で管理の仕事ができないので、賃貸不動産経営管理士は欠かせない資格です。そのため、不動産会社で働く方や、これから不動産業界で働きたい方に人気があります。

賃貸不動産経営管理士試験の形(日程・問題数・時間)

試験は年に1回、11月の第3日曜日に行われています。令和8年度は11月15日(日)の午後1時から3時までの2時間で、問題は全部で50問、すべて4つの選択肢から1つを選ぶ形です。記述式の問題はありません。受験資格はないので、年齢・学歴・実務の経験に関係なく、学生の方や不動産の仕事をしたことがない方でも受験できます。

項目内容
試験日年1回・11月の第3日曜日
試験時間13時〜15時の120分(講習修了者は110分)
問題数50問(講習修了者は45問)
出題の形4つの選択肢から1つを選ぶ形(記述式なし)
受験資格なし(誰でも受験できる)

講習による5問免除とは?

試験を実施している賃貸不動産経営管理士協議会の「賃貸不動産経営管理士講習」を受けて修了すると、試験の最後の5問が免除されます。この場合、問題は45問になり、試験時間も10分短い110分になります。免除を受けられるのは、講習を修了した年度とその次の年度の2回の試験です。講習には費用と時間がかかるので、受けるかどうかは、自分の勉強の計画に合わせて決めるのがよいでしょう。

賃貸不動産経営管理士試験の合格率と合格点

令和7年度(2025年度)の試験では、受験者は31,792人、合格者は9,370人で、合格率は29.5%でした。その前の年度(令和6年度)の合格率は24.1%で、だいたい4人に1人から3人に1人が合格する試験だと言えます。合格点は年度によって変わり、令和7年度は50問中38問、令和6年度は35問でした。7割から8割の正解が必要になるので、目標としては50問中40問の正解を目指して勉強しておくと安心です。

年度合格率合格点(50問中)
令和7年度(2025年度)29.5%38問
令和6年度(2024年度)24.1%35問

試験の出題範囲は6つ

試験の出題範囲は、大きく6つに分けられています。1つ目はオーナーと管理会社の間の契約である管理受託契約、2つ目は建物や設備の点検・修理などの維持保全、3つ目は家賃・敷金・共益費などのお金の管理、4つ目はオーナーと入居者の間の賃貸借契約、5つ目は賃貸住宅管理業法、6つ目はそれ以外の管理の実務にかかわることです。6つ目には、税金、保険、不動産の証券化、個人情報の保護、住宅セーフティネット法など、いろいろな内容が含まれます。

よく出題される分野はどこ?

賃貸管理士塾でまとめた2019年から2025年までの過去問の分析では、いちばん多いのが賃貸住宅管理業法で、管理会社のルールとサブリースのルールを合わせると全体のおよそ3割です。次に多いのが賃貸借契約で、民法と借地借家法のルールを中心におよそ2割が出題されています。つまり、賃貸住宅管理業法と賃貸借契約で、全体のおよそ半分を占めています。その次が建物の構造・設備・維持保全でおよそ2割、残りで原状回復、お金の管理、税金、保険などが出題されます。

分野出題の割合(目安)
賃貸住宅管理業法(サブリースを含む)およそ3割
賃貸借契約(民法・借地借家法)およそ2割
建物の構造・設備・維持保全およそ2割
原状回復・お金の管理・税金・保険など残り

宅建試験との関係

賃貸不動産経営管理士の試験は、宅建試験と重なる部分が多い試験です。民法の賃貸借、借地借家法、宅建業法などは、どちらの試験にも出題されるので、宅建試験を勉強したことがある方は、その知識をそのまま活かせます。反対に、この試験を先に勉強しておけば、宅建試験の勉強にも役立ちます。ただし、賃貸住宅管理業法や建物・設備の分野は、この試験ならではの内容なので、宅建試験に合格している方も新しく勉強する必要があります。

最初に知っておきたい言葉

「賃貸人」とは物を貸す人のことを言い、「賃借人」とは物を借りる人のことを言います。ふつうの賃貸住宅では、オーナーが賃貸人で、入居者が賃借人です。「貸主」「借主」は、賃貸人・賃借人を分かりやすく言いかえた言葉で、試験ではどちらも出てきます。また、「管理業者」とは、国の登録を受けて賃貸住宅の管理の仕事をしている会社のことを言います。問題文にこれらの言葉が出てきたら、上の表の誰のことなのかを思い浮かべると、問題が読みやすくなります。

賃貸不動産経営管理士試験の勉強のコツ

1つ目のコツは、図を書くことです。問題文にオーナー、管理業者、入居者が出てきたら、人を丸で書いて矢印でつなぎます。とくにサブリースの問題は、誰が誰に貸しているのかが見えるだけで、ぐっと分かりやすくなります。

2つ目のコツは、数字をセットで覚えることです。この試験では、200戸(登録が必要になる管理戸数)、5年(登録の有効期間)、1年(オーナーへの定期報告)、30日(変更の届出)など、数字がよく問われます。数字だけを覚えるのではなく、何についての数字なのかと一緒に覚えるようにします。

3つ目のコツは、理由を理解することです。このルールはオーナーを守るためなのか、入居者を守るためなのかを考えると、丸暗記をしなくても答えが出せるようになります。

「賃貸管理士 分野別 超入門」シリーズの学び方

このシリーズは、全65回で試験の範囲を1テーマずつ解説していきます。最初に賃貸住宅の管理のしくみと賃貸不動産経営管理士の役割を学び、次に試験の中心である賃貸住宅管理業法を管理受託とサブリースに分けて学びます。そのあと民法・借地借家法の賃貸借契約、入居者の募集・家賃の管理・滞納への対応・原状回復などの管理の実務、建物の構造と給水・排水・電気・消防などの設備、最後に税金・保険・不動産の証券化などの賃貸経営へと進みます。第1回から順番に見ると、つながりを理解しながら学べます。次回は、オーナー・管理会社・入居者・サブリース業者の関係を、さらに詳しく解説します。

この記事を書いた人

賃貸管理士塾の講師、小野一輝です。賃貸不動産経営管理士・宅建・行政書士の試験対策講師として、初めて法律を学ぶ方にも分かる解説を心がけています。この記事と動画は、令和9年4月1日に施行されている法令(施行予定を含む)と、賃貸不動産経営管理士協議会が公表している試験の情報に基づいて作成しています。試験日や申込みの方法は、必ず協議会の最新の実施要領でご確認ください。動画で分かりづらかった部分は、個別指導でていねいに解説しています。

よくある質問

Q. 賃貸不動産経営管理士は国家資格ですか?

A. はい。賃貸住宅管理業法の施行にともない、2021年度の試験から国家資格になりました。合格して登録すると、管理業者の営業所ごとに置く業務管理者になることができます。

Q. 賃貸不動産経営管理士の試験に受験資格はありますか?

A. 受験資格はありません。年齢・学歴・実務の経験に関係なく、学生の方や不動産の仕事をしたことがない方でも受験できます。

Q. 試験はいつ、何問、何分で行われますか?

A. 年に1回、11月の第3日曜日に行われています。午後1時から3時までの120分で、問題は50問、すべて4つの選択肢から1つを選ぶ形です。記述式の問題はありません。

Q. 5問免除を受けるにはどうすればよいですか?

A. 賃貸不動産経営管理士協議会の賃貸不動産経営管理士講習を受けて修了すると、試験の最後の5問が免除され、45問・110分で受験できます。免除は、講習を修了した年度とその次の年度の2回の試験で受けられます。

Q. 合格率と合格点はどのくらいですか?

A. 令和7年度は受験者31,792人、合格者9,370人で、合格率は29.5%、合格点は50問中38問でした。令和6年度は合格率24.1%、合格点35問です。合格点は年度によって変わるので、50問中40問の正解を目標にすると安心です。

Q. どの分野から勉強すればよいですか?

A. 問題の数が多い賃貸住宅管理業法(サブリースを含む)と賃貸借契約から勉強するのがおすすめです。この2つで全体のおよそ半分が出題されます。そのあと、管理の実務、建物・設備、税金・保険などに進みます。

Q. 宅建の知識は賃貸不動産経営管理士の試験に役立ちますか?

A. 役立ちます。民法の賃貸借、借地借家法、宅建業法はどちらの試験にも出題されます。ただし、賃貸住宅管理業法や建物・設備の分野はこの試験ならではの内容なので、新しく勉強する必要があります。

Q. 業務管理者とは何ですか?

A. 業務管理者とは、営業所や事務所で行われる管理の仕事が法律に従って正しく行われているかを、管理・監督する責任者のことを言います。200戸以上を管理する登録業者は、営業所や事務所ごとに1人以上置かなければなりません。

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