10部屋のアパートを20棟まとめて管理している管理会社は、国土交通大臣の登録を受けなければならないでしょうか。賃貸不動産経営管理士の試験では、賃貸住宅管理業の登録について、登録が必要になる規模、有効期間と更新の手続き、登録を受けられない場合(欠格事由)などが問われます。この記事では、動画「賃貸管理士 分野別 超入門」の第5回として、登録の制度があるわけ、200戸の数え方、申請と変更の届出、5年の有効期間と更新、登録を受けられない人や会社、廃業の届出と名義貸しの禁止までを、具体的な例を使って初めての方にも分かるように解説します。
この記事の結論
管理する賃貸住宅が200戸以上の会社は、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。200戸は建物の数ではなく部屋の数で数えるので、10部屋のアパートが20棟なら200戸になり、登録が必要です。200戸未満の会社も自分から登録でき、登録すれば同じルールを守る必要があります。登録の有効期間は5年で、更新の申請は有効期間が終わる日の90日前から30日前までに行います。破産して復権を得ていない人や、登録を取り消されてから5年がたっていない人などは登録を受けられず、会社の場合は役員が1人でも当たれば会社も登録を受けられません。
管理業の登録の制度があるわけ
たとえば、あなたがアパートのオーナーだとしたら、どんな管理会社に大切なアパートを任せたいでしょうか。きちんとしたルールを守っていて、国がチェックしている会社のほうが、安心して任せられるはずです。そこで、賃貸住宅管理業法では、賃貸住宅管理業を営む会社に、国土交通大臣の登録を受けさせることにしました。
登録をした会社は、国が作る登録簿にのせられ、登録簿はだれでも見ることができます。オーナーは、登録簿を見て、任せようとしている会社が登録をしているかを確かめることができるんです。登録が必要なのに、登録をしないで管理業を営むと、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
登録が必要なのは管理戸数200戸以上の会社
では、どんな会社が登録をしなければならないのでしょうか。決め手になるのは、管理している部屋の数です。法律と施行規則では、管理する賃貸住宅が200戸以上の会社は登録をしなければならない、とされています。ここで大事なのは、建物の数ではなく、部屋の数で数えるということです。国土交通省の考え方でも、管理戸数は、入居者との賃貸借契約の数、つまり部屋の数で数えるとされています。
記事の最初の問題に戻ると、10部屋のアパートが20棟なので、部屋の数は10かける20で200戸になります。なので、答えは「登録を受けなければならない」です。もし管理している部屋が199部屋なら、1部屋足りないので、登録をしなくても管理業を営むことができます。
| 管理している部屋の数 | 登録 | ポイント |
|---|---|---|
| 200戸以上 | 必ず受けなければならない | 登録をしないで営むと、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(両方のことも) |
| 200戸未満 | 受けなくてもよいが、自分から受けることもできる | 登録をすれば、200戸以上の会社と同じルール・処分・罰則の対象になる |
| 宅建業の免許を持つ会社 | 200戸以上なら別に必要 | 宅建業の免許があるから登録はいらない、とはならない |
200戸未満の会社も登録できる
では、200戸に届かない小さな管理会社は、登録をすることができないのでしょうか。答えは、登録をすることができます。200戸未満の会社でも、自分から申請をして登録を受けることができるんです。登録をしていれば、オーナーからの信用を得やすくなる、というよいところがあります。
ただし、一度登録を受けると、200戸以上の会社と同じように、法律のルールを守らなければなりません。ルールに違反すれば、国から業務改善命令を受けたり、登録の取消しや業務の停止の処分を受けたりすることもあります。
宅建業者でも登録は別に必要
宅地建物取引業の免許を持っている不動産会社でも、200戸以上の管理をするなら、賃貸住宅管理業の登録が別に必要です。宅建業者は、申請のときに出す書類の一部を省くことができるだけで、登録そのものがいらなくなるわけではありません。
200戸に数える部屋・数えない部屋
では、200戸を数えるときに、どんな部屋が入るのでしょうか。数えるのは、オーナーから任されて、管理業務を行っている部屋です。前回学んだとおり、管理業務とは、維持保全と、それと一緒に行う家賃・敷金・共益費などのお金の管理のことを言います。
たとえば、会社が自分で持っているアパートを自分で管理している場合、その部屋は人から任されていないので、数に入りません。また、家賃や敷金のお金の管理だけをしている部屋も、維持保全をしていないので管理業務に当たらず、数に入りません。一方で、サブリース業者が、借りた部屋を入居者に貸して、その部屋の維持保全を自分で行っている場合は、その部屋も数に入ります。本来はオーナーが行うはずの維持保全を、代わりに行っている実態があるからです。サブリース業者でも、200戸以上の部屋を管理しているなら、登録が必要になるということです。
| 部屋の例 | 200戸に数えるか | 理由 |
|---|---|---|
| オーナーから任されて、維持保全と家賃の管理をしている部屋 | 数える | 任されて管理業務を行っている |
| 会社が自分で持っていて、自分で管理している部屋 | 数えない | 人から任されていない |
| 家賃や敷金のお金の管理だけをしている部屋 | 数えない | 維持保全をしていないので管理業務に当たらない |
| サブリース業者が借りて入居者に貸し、維持保全を自分で行っている部屋 | 数える | オーナーに代わって維持保全を行っている |
登録の申請と変更の届出
では、登録を受けるにはどんな手続きをするのでしょうか。登録をしたい会社は、国土交通大臣に申請書を出します。申請書には、会社の名前や住所、営業所や事務所の名前と場所、会社の役員の名前などを書きます。
ここで、宅建業の免許とくらべてみます。宅建業の免許では、営業所が1つの都道府県にしかなければ知事の免許になり、2つ以上の都道府県にあれば国土交通大臣の免許になります。これに対して、賃貸住宅管理業の登録は、営業所がいくつあっても、どこにあっても、いつも国土交通大臣の登録です。「営業所が1つの県にしかない管理会社は、知事の登録を受ける」という文は誤りです。
登録を受けたあとで、会社の名前や住所、営業所や事務所、役員などの申請書に書いたことが変わったときは、変わった日から30日以内に国土交通大臣に届け出なければなりません。だれでも見ることができる登録簿の中身を、いつも正しくしておくためです。
登録の有効期間は5年・更新の申請は90日前から30日前まで
では、一度登録を受けたら、ずっと管理業を続けられるのでしょうか。答えは、続けられません。登録の有効期間は5年です。5年がたったあとも管理業を続けたいときは、更新の登録を受けなければなりません。更新の申請は、有効期間が終わる日の90日前から30日前までの間に行います。
では、更新の申請をしたのに、有効期間が終わる日までに国からの結果が出なかったら、どうなるでしょうか。その場合は、結果が出るまでの間、前の登録がそのまま有効とされます。そして、更新の登録を受けたときは、新しい有効期間は、前の有効期間が終わった日の次の日から数えて5年になります。更新の登録を受けた日から数えるのではない点に注意します。
| 場面 | 期限・期間 | 届け出る・申請する人 |
|---|---|---|
| 登録の有効期間 | 5年 | ― |
| 更新の申請 | 有効期間が終わる日の90日前から30日前まで | 登録を受けている会社 |
| 申請書に書いたことの変更 | 変わった日から30日以内 | 登録を受けている会社 |
| 管理業をやめたとき | やめた日から30日以内 | 登録を受けている会社 |
| 個人の管理業者が亡くなったとき | 亡くなったことを知った日から30日以内 | 相続人 |
| 会社が破産したとき | その日から30日以内 | 破産管財人 |
登録を受けられない人(欠格事由)
では、申請書を出せば、どんな会社でも登録を受けられるのでしょうか。答えは、受けられません。法律では、国土交通大臣が登録を拒否しなければならない場合が決められています。これを欠格事由と言います。まず、申請する人そのものに問題がある場合から見ていきます。
1つ目は、心身の故障によって、管理業を正しく営むことができない人です。2つ目は、破産をして、まだ復権を得ていない人です。「復権」とは、破産によって受けていた制限がなくなって、元の立場に戻ることを言います。3つ目は、管理業の登録を取り消されてから、まだ5年がたっていない人です。ルールを破って登録を取り消された会社が、すぐに登録し直せたら、取り消した意味がなくなってしまうからです。
刑罰を受けた人は「拘禁刑」と「この法律の罰金」で5年
では、罪を犯して刑を受けた人はどうでしょうか。拘禁刑以上の刑を受けた人は、刑の執行が終わってから、または刑の執行を受けることがなくなってから、5年がたつまでは登録を受けられません。罰金の刑の場合は、どんな罪でも当たるわけではありません。賃貸住宅管理業法に違反して罰金の刑を受けた場合に、5年の間、登録を受けられなくなります。たとえば、スピード違反で罰金の刑を受けた人は、賃貸住宅管理業法の違反ではないので、これには当たらないんです。
暴力団員と、不正・不誠実のおそれがある人
暴力団員や、暴力団員をやめてから5年がたっていない人も、登録を受けられません。さらに、管理業の仕事について、不正なことや誠実でないことをするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある人も、登録を受けられません。たとえば、国から登録を取り消す手続きを始められたあとで、取り消される前に、あわてて廃業の届出をした人は、その届出から5年の間、これに当たります。
会社や未成年者が申請する場合
では、登録を申請するのが会社の場合は、どう考えるのでしょうか。会社の場合は、役員の中に、ここまで見た登録を受けられない人が1人でもいれば、その会社も登録を受けられません。たとえば、役員の1人が破産をして、まだ復権を得ていなければ、ほかの役員に問題がなくても、会社は登録を受けられないんです。
また、会社が登録を取り消されたときは、取り消された日の前の30日以内にその会社の役員だった人も、取り消された日から5年の間、登録を受けられなくなります。取り消される前に役員をやめて、別の会社で登録を受ける、という逃げ道をふさいでいるんです。さらに、暴力団員などが会社の事業を思いどおりに動かしている場合も、その会社は登録を受けられません。
なお、申請するのが未成年者で、親などの法定代理人から営業の許可を受けていないときは、その法定代理人が登録を受けられない人に当たると、その未成年者も登録を受けられません。
お金の基盤と業務管理者が求められる
では、人や役員に問題がなくても、登録を受けられない会社はあるでしょうか。答えは、あります。1つは、お金の状況がよいとは言えない会社です。具体的には、原則として、借金などの負債の合計が、持っている財産の合計よりも多い会社や、支払いができなくなっている会社です。賃貸住宅の管理は、オーナーから家賃や敷金を預かる仕事なので、お金の基盤がしっかりしていることが求められるんです。ただし、負債のほうが多くても、利益が出ているなど、お金の状況がよいと認められる場合もあるので、「負債が財産より多ければ必ず登録を受けられない」とまでは言えません。
もう1つは、営業所や事務所ごとに、業務管理者を確実に置くことができると認められない会社です。業務管理者は、管理業の仕事をきちんと管理する担当者で、くわしくは次回学びます。
廃業の届出と名義貸しの禁止
では、登録を受けた会社が管理業をやめるときは、どうするのでしょうか。管理業をやめたときは、やめた日から30日以内に国土交通大臣に届け出なければなりません。会社の代わりに、届け出る人が決まっている場合もあります。たとえば、個人で管理業を営んでいた人が亡くなったときは、その相続人が、亡くなったことを知った日から30日以内に届け出ます。会社が破産したときは、破産管財人が届け出ます。亡くなった場合だけ「知った日から」になっている点は、上の表で確かめておきましょう。
また、登録を受けた会社は、自分の名義をほかの人に貸して、管理業を営ませてはいけません。これを名義貸しの禁止と言います。名義貸しを許すと、登録をしていない会社に、登録をしているふりをさせることになってしまうからです。名義貸しをした会社には、登録をしないで営業したときと同じ、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
試験で間違えやすいポイント
1つ目は、「10部屋のアパートを20棟管理している会社は、建物が20棟なので登録を受ける必要はない」という文です。これは誤りです。200戸は部屋の数で数えるので、10かける20で200戸になり、登録が必要です。
2つ目は、「宅地建物取引業の免許を受けている会社は、賃貸住宅管理業の登録を受けなくてよい」という文です。これも誤りです。200戸以上の管理をするなら、宅建業の免許とは別に登録が必要です。
3つ目は、「更新の登録を受けたときの有効期間は、更新の登録を受けた日から5年である」という文です。これも誤りで、前の有効期間が終わった日の次の日から5年になります。
4つ目は、「どんな罪でも、罰金の刑を受けた人は5年間登録を受けられない」という文です。これも誤りです。罰金の刑で登録を受けられなくなるのは、賃貸住宅管理業法に違反した場合です。拘禁刑以上の刑なら、罪の種類に関係なく当たります。問題文に数字が出てきたら、上の表を思い出して、何の期限なのかを確かめてから答えを選ぶようにしましょう。
次回は、営業所や事務所ごとに置く、業務管理者について学びます。
この記事を書いた人
賃貸管理士塾の講師、小野一輝です。賃貸不動産経営管理士・宅建・行政書士の試験対策講師として、初めて法律を学ぶ方にも分かる解説を心がけています。この記事と動画は、令和9年4月1日に施行されている賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律と同法施行規則、国土交通省の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」と「賃貸住宅管理業法FAQ集」に基づいて作成しています。動画で分かりづらかった部分は、個別指導でていねいに解説しています。
よくある質問
Q. 賃貸住宅管理業の登録が必要になるのは、どんな会社ですか?
A. 管理する賃貸住宅が200戸以上の会社です。200戸以上の会社は、国土交通大臣の登録を受けなければならず、登録をしないで管理業を営むと、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
Q. 200戸は建物の数で数えますか、部屋の数で数えますか?
A. 部屋の数で数えます。たとえば、10部屋のアパートを20棟管理していれば、10かける20で200戸になるので、登録が必要です。会社が自分で持っていて自分で管理している部屋や、お金の管理だけをしている部屋は数えません。
Q. 200戸未満の管理会社も登録を受けることはできますか?
A. できます。200戸未満の会社でも、自分から申請して登録を受けることができます。ただし、登録を受けると、200戸以上の会社と同じように法律のルールを守る必要があり、違反すれば業務改善命令や業務の停止などの処分を受けることもあります。
Q. 宅建業の免許を持っていれば、管理業の登録はいりませんか?
A. いります。宅地建物取引業の免許を持っている会社でも、200戸以上の賃貸住宅を管理するなら、賃貸住宅管理業の登録が別に必要です。
Q. 管理業の登録は、営業所が1つの県にしかなければ知事の登録になりますか?
A. なりません。賃貸住宅管理業の登録は、営業所がいくつあっても、どこにあっても、いつも国土交通大臣の登録です。
Q. 登録の有効期間と、更新の申請の時期を教えてください。
A. 有効期間は5年です。更新の申請は、有効期間が終わる日の90日前から30日前までの間に行います。有効期間が終わる日までに結果が出ないときは、結果が出るまで前の登録が有効とされ、更新後の有効期間は、前の有効期間が終わった日の次の日から5年になります。
Q. スピード違反で罰金の刑を受けた人は、管理業の登録を受けられませんか?
A. 受けられます。罰金の刑で登録を受けられなくなるのは、賃貸住宅管理業法に違反して罰金の刑を受けた場合です。拘禁刑以上の刑を受けた場合は、罪の種類に関係なく、刑の執行が終わるなどしてから5年がたつまで登録を受けられません。
Q. 役員の1人が破産して復権を得ていない会社は、登録を受けられますか?
A. 受けられません。会社の場合は、役員の中に登録を受けられない人が1人でもいれば、ほかの役員に問題がなくても、その会社も登録を受けられません。



