賃貸不動産経営管理士試験の過去問の解説を毎日3問、メールでお届けでします。
     

管理受託契約の重要事項説明とは?説明の時期・いらない相手・11の説明事項を初学者向けに解説【2027年対策】

ある管理会社が、アパートのオーナーに、管理受託契約の契約書を郵便で送りました。オーナーは契約書にハンコを押して、送り返してくれました。この管理会社は、これで契約を結んだことにしてもいいでしょうか。賃貸不動産経営管理士の試験では、管理受託契約の重要事項の説明について、説明の時期、説明をする人、説明がいらない相手、説明する事柄、電子の方法やオンラインでの説明、更新や変更のときの扱いなどが問われます。この記事では、動画「賃貸管理士 分野別 超入門」の第7回として、重要事項の説明が置かれているわけから、11の説明事項、罰則と処分までを、宅建業法の重要事項説明とくらべながら、初めての方にも分かるように解説します。

この記事の結論

管理業者は、オーナーと管理受託契約を結ぶ前に、大切な事柄を書いた書面を渡して、説明しなければなりません。説明から契約までは、1週間ほどあけることが望ましいとされています。説明をする人に資格の決まりはなく、業務管理者の管理と監督のもとで、ほかの社員が説明してもかまいません。管理業者や宅建業者のように、専門的な知識と経験がある相手には、説明も書面もいりません。説明する事柄は11個で、書面はオーナーの承諾があれば電子の方法で渡せて、説明は条件を満たせばテレビ会議でもできます。中身を変えて更新するときは、変わった事柄を説明します。なので、最初の問題の答えは「契約書を送っただけでは、いけない」です。

重要事項の説明とは

たとえば、オーナーが、毎月の管理の報酬には部屋の修理の手配も入っていると思って、管理会社と契約を結んだとします。ところが、あとから「修理の手配は別料金です」と言われたら、どうでしょうか。オーナーは「話がちがう」と困ってしまいますよね。

そこで、賃貸住宅管理業法では、管理業者が、オーナーと管理受託契約を結ぼうとするときは、契約を結ぶ前に、大切な事柄を書いた書面を渡して、説明しなければならない、としました。これを「重要事項の説明」と言います。「管理受託契約」とは、オーナーから、賃貸住宅の維持保全などの管理の仕事を任される契約のことを言います。重要事項の説明は、オーナーが契約の中身をよく分かったうえで、契約を結ぶかどうかを決められるようにするためのルールなんです。

ポイントは、書面を渡すことと、説明をすることの両方が必要だという点です。書面を送っておくだけでも、口で話すだけでも足りません。

説明の時期は契約を結ぶ前

では、重要事項の説明は、いつまでにすればいいのでしょうか。法律で決められているのは、契約を結ぶ前、ということです。契約を結んだあとで説明しても、間に合いません。

さらに、国の考え方では、説明をしてから契約を結ぶまでに、1週間ほどの期間をあけることが望ましい、とされています。説明を聞いたその場で、すぐにハンコを押してもらうのではなく、オーナーが書面を読み返して、よく考える時間をとれるようにするためです。説明から契約までの期間が短くなるときは、書面を前もって送っておき、読んでもらってから説明する、といった工夫も大切だとされています。

「望ましい」とは、守らなくても法律の違反にはならないけれど、できればそうしてほしい、という意味を言います。なので、1週間あけずに契約を結んでも、それだけで法律の違反にはなりません。試験では「1週間」という数字が出されることがあるので、「契約を結ぶ前に説明する」という法律の決まりと、「1週間ほどあけるのが望ましい」という国の考え方を、分けて覚えておきましょう。

説明する人に資格の決まりはない

では、重要事項の説明は、だれがしなければならないのでしょうか。前回学んだとおり、業務管理者が自分で説明する必要はありません。業務管理者の管理と監督のもとで行えば、業務管理者ではない社員が説明してもかまいません。賃貸住宅管理業法には、説明をする人の資格の決まりはないんです。

ただし、説明は、オーナーと契約を結ぼうとしている管理業者が、自分で行う必要があります。たとえば、説明の仕事だけを、グループの別の会社に任せることはできません。また、国の考え方では、説明をする人は、業務管理者や、一定の実務の経験がある人など、専門的な知識と経験のある人が望ましい、とされています。

宅建業法の重要事項説明は、必ず宅地建物取引士が行わなければなりません。宅建業法を先に学んだ方は「重要事項の説明は資格者がするもの」と思い込みやすいので、ここが大きなちがいだと押さえておきましょう。

説明がいらない相手

では、重要事項の説明は、どんなオーナーにも必要なのでしょうか。たとえば、オーナーが、自分も不動産の取引を仕事にしている宅建業者の会社だったら、どうでしょうか。答えは、説明も、書面を渡すことも、いりません。法律では、管理の仕事について専門的な知識と経験がある相手には、重要事項の説明をしなくてもいい、とされているんです。

このような相手は、施行規則で決められています。具体的には、賃貸住宅管理業者、特定転貸事業者、宅建業者、特定目的会社、都市再生機構、地方住宅供給公社などです。「特定転貸事業者」とは、オーナーから部屋を借りて、入居者に又貸しする事業を行う会社、いわゆるサブリース業者のことを言います。このほか、一定の条件を満たす組合や、信託を受けた会社も入りますが、どれでも入るわけではない点に注意が必要です。

反対に、相手が一般のオーナーであれば、管理の経験が長い人でも、説明は必要です。アパートを何十年も持っている、くわしいオーナーだからといって、説明を省くことはできないんです。説明がいらないかどうかは、オーナー本人の経験ではなく、どんな立場の相手なのかで決まると覚えておきましょう。

相手説明と書面
賃貸住宅管理業者・特定転貸事業者・宅建業者・特定目的会社どちらもいらない
都市再生機構・地方住宅供給公社どちらもいらない
一定の条件を満たす組合・信託を受けた会社条件に当たればいらない
一般のオーナー(管理の経験が長い人も)どちらも必要

説明する11の事項

では、重要事項の説明では、何を説明するのでしょうか。説明しなければならない事柄は、施行規則で全部で11個決められています。

前半の5つは、だれが、どの建物を、どんなやり方で、いくらで管理するのか、という契約の土台です。5つ目の「報酬に入っていない費用」は、最初のたとえ話のように、何が報酬に入っていて、何が別料金なのかがトラブルになりやすいので、前もってはっきりさせておくんです。

6つ目の再委託とは、管理業者が、管理の仕事の一部を、ほかの会社に任せることを言います。たとえば、建物の清掃を清掃会社に任せることがあるなら、任せる仕事の中身や、任せる予定の会社を、前もって明らかにしておきます。7つ目の責任と免責は、管理業者がどんなときに責任を負い、どんなときに負わないのか、という決まりです。国の考え方では、オーナーに損害を補う保険に入ってもらい、その保険で補われる損害については管理業者が責任を負わない、といった決まりが例に挙げられています。

番号説明する事項中身の例
1管理業者の名前・登録年月日・登録番号どの会社が管理するのか
2管理を任される賃貸住宅建物の名前・場所・部屋の数など
3管理業務の内容とやり方どんな管理の仕事を、どう行うのか
4報酬の額・払う時期・払い方毎月いくらを、いつ、どう払うのか
5報酬に入っていない費用でオーナーがふつう負担するもの別料金になるものをはっきりさせる
6管理業務の一部の再委託任せる仕事の中身と、任せる予定の会社
7責任と免責保険で補われる損害は管理業者が責任を負わない、など
8オーナーへの定期的な報告管理の状況の報告について
9契約の期間いつからいつまでの契約か
10管理業務の内容を入居者に知らせること入居者への周知について
11契約の更新と解除更新のしかた、解除のしかた

全部を一度に覚えるのは大変なので、まずは「報酬、再委託、責任、報告、期間、更新と解除」という大きな流れをつかんでください。そのうえで、契約の当事者と建物、仕事の中身、入居者への周知を足していくと、11個がそろいます。

書面は承諾があれば電子の方法で渡せる

では、重要事項の説明の書面は、紙でなければならないのでしょうか。答えは、オーナーの承諾があれば、紙の代わりに、メールなどの電子の方法で渡すこともできます。電子の方法で渡したときは、書面を渡したものとみなされます。

ただし、承諾は、前もってとっておく必要があります。どんな方法で送るのか、その種類と中身をオーナーに示して、書面か電子の方法で承諾をもらいます。承諾したことが記録に残る形でなければならないので、たとえば、電話で「メールで送ってください」と言われただけでは足りません。また、オーナーから、あとで「電子の方法では受け取らない」と申し出があったときは、その方法で渡してはいけません。

さらに、電子の方法で送るときは、オーナーが、プリンターで印刷して書面を作ることができて、途中で書きかえられていないかを確かめられる形でなければなりません。

テレビ会議での説明と電話での説明

では、説明は、オーナーと会って、向かい合ってしなければならないのでしょうか。答えは、テレビ会議などのオンラインでも説明できます。ただし、国の考え方では、次の3つの条件を満たす必要があるとされています。

1つ目は、書面や説明の内容がよく分かるくらいに画面の映像が見えて、声もしっかり聞こえて、おたがいにやりとりができることです。2つ目は、原則として、書面を前もってオーナーに送っておくことです。3つ目は、オーナーが手元の書面を見ながら説明を受けられる状態か、映像や声に問題がないかを、説明を始める前に確かめることです。

では、電話での説明はどうでしょうか。新しく契約を結ぶときの説明は、電話ではできません。メールを送るだけで済ませることもできません。ただ、すでにある契約の中身を変えるときの説明は、オーナーから電話でしてほしいと頼まれて、書面を前もって送っておくなど、決められた条件をすべて満たせば、電話ですることもできます。「新しい契約は電話不可、変更のときは条件つきで電話も可」と分けて覚えておきましょう。

更新と変更のときの説明

では、契約を更新するときにも、説明はやり直さなければならないのでしょうか。答えは、契約の中身を変えて更新するときは、あらためて説明が必要です。たとえば、管理の報酬を月3万円から月4万円に上げて更新するような場合です。このときは、変わった事柄だけを、書面を渡して説明すれば足ります。11個を全部説明し直す必要はありません。

一方で、中身はそのままで、契約の期間だけを延ばすときは、説明はいりません。また、会社の中身は変わらずに会社の名前だけを変えた、のような、形だけの変更のときも、説明はいりません。試験では「更新のときは、いつでも説明が必要」という文が出されることがあるので、中身が変わるかどうかで分けて考えるようにしましょう。

場面説明はいるか
報酬の額など、契約の中身を変えて更新するいる(変わった事柄だけを、書面を渡して説明すれば足りる)
中身はそのままで、契約の期間だけを延ばすいらない
会社の中身は変わらず、名前だけを変えたいらない(形だけの変更)

重要事項説明の書面と契約のときの書面は別に渡す

ここで、記事の最初の問題に戻ります。契約書を郵便で送って、オーナーがハンコを押して送り返してくれたら、契約を結んでいいでしょうか。答えは、いけません。契約を結ぶ前に、重要事項の説明の書面を渡して、説明をしなければならないからです。契約書を送っただけで、重要事項の説明をしていなければ、賃貸住宅管理業法の違反になります。

また、管理業者は、重要事項の説明の書面のほかに、契約を結んだときにも、契約の中身を書いた書面をオーナーに渡さなければなりません。この2つの書面は、渡すタイミングがちがいます。重要事項の説明の書面は契約の前、契約のときの書面は契約を結んだあとです。なので、国の考え方では、2つを1つにまとめて渡すことはできず、それぞれ別に渡す必要がある、とされています。契約のときの書面については、次回くわしく学びます。

罰則はないが監督処分の対象になる

では、重要事項の説明をしなかったら、どうなるのでしょうか。実は、重要事項の説明をしなかったことについての罰則は、ありません。賃貸住宅管理業法で30万円以下の罰金が決められている違反の中に、重要事項の説明は入っていないんです。一方で、契約を結んだときの書面を渡さなかったときは、30万円以下の罰金の対象になります。この2つは、まちがえやすいので気をつけましょう。

ただし、罰則がないからといって、何もおとがめがないわけではありません。国土交通大臣から、業務の改善の命令を受けたり、法律に違反したとして、登録の取消しや、1年以内の業務の停止の処分を受けたりすることがあります。なので、軽く考えてはいけません。

宅建業法の重要事項説明とのくらべ

宅建業法にも、契約の前に行う重要事項説明があります。名前は同じでも、中身にはちがいがあるので、表で整理しておきましょう。

くらべる所管理受託契約の重要事項説明(賃貸住宅管理業法)重要事項説明(宅建業法)
時期契約を結ぶ前(1週間ほどあけるのが望ましい)契約が成立するまでの間
説明する人資格の決まりはない(業務管理者の管理と監督のもとで行う)宅地建物取引士。説明のときに宅地建物取引士証を見せる
書面への記名宅地建物取引士の記名のような決まりはない宅地建物取引士が記名する
相手が宅建業者のとき説明も書面もいらない説明はいらないが、書面は渡す

とくに、説明する人と、相手が宅建業者のときの扱いは、試験でまぜて出されやすい所です。賃貸住宅管理業法では、宅建業者が相手なら説明も書面もいらないのに対して、宅建業法では、相手が宅建業者でも書面は渡さなければなりません。問題文を読むときは、どちらの法律の話なのかを、まず確かめるようにしましょう。

まとめ

管理業者は、管理受託契約を結ぶ前に、オーナーに、重要事項を書いた書面を渡して説明しなければなりません。説明から契約までは、1週間ほどあけることが望ましいとされています。説明をする人に資格の決まりはなく、業務管理者の管理と監督のもとで行えばよいですが、説明だけをほかの会社に任せることはできません。管理業者や宅建業者のような、専門的な知識と経験がある相手には、説明も書面もいりませんが、一般のオーナーには、経験が長くても説明が必要です。

説明する事柄は11個です。書面は、前もって承諾をもらえば電子の方法で渡せて、説明は、条件を満たせばテレビ会議でもできます。新しい契約の説明は電話ではできません。中身を変えて更新するときは、変わった事柄を説明し、期間だけの延長や形だけの変更なら説明はいりません。重要事項の説明の書面と契約のときの書面は、別々に渡します。説明をしなかったことに罰則はありませんが、業務改善命令や、登録の取消し、業務の停止の処分を受けることがあります。

次回は、管理受託契約を結んだときに渡す書面について学びます。

この記事を書いた人

賃貸管理士塾の講師、小野一輝です。賃貸不動産経営管理士・宅建・行政書士の試験対策講師として、初めて法律を学ぶ方にも分かる解説を心がけています。この記事と動画は、令和9年4月1日に施行されている賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律と同法施行令・施行規則、宅地建物取引業法、国土交通省の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」「賃貸住宅管理業法FAQ集」に基づいて作成しています。動画で分かりづらかった部分は、個別指導でていねいに解説しています。

よくある質問

Q. 管理受託契約の重要事項の説明は、いつまでにすればいいですか?

A. 管理受託契約を結ぶ前にしなければなりません。さらに、国の考え方では、説明をしてから契約を結ぶまでに1週間ほどの期間をあけることが望ましい、とされています。望ましいというだけなので、1週間あけなくても、それだけで法律の違反にはなりません。

Q. 重要事項の説明は、業務管理者や資格を持った人がしなければなりませんか?

A. いいえ。賃貸住宅管理業法には、説明をする人の資格の決まりはありません。業務管理者の管理と監督のもとで行えば、ほかの社員が説明してもかまいません。ただし、説明は契約を結ぼうとしている管理業者が自分で行う必要があり、説明だけを別の会社に任せることはできません。

Q. 重要事項の説明がいらない相手はいますか?

A. 管理の仕事について専門的な知識と経験がある相手には、説明も書面もいりません。賃貸住宅管理業者、特定転貸事業者、宅建業者、特定目的会社、都市再生機構、地方住宅供給公社などです。一方で、一般のオーナーには、管理の経験が長い人でも説明が必要です。

Q. 重要事項の説明では、何を説明しますか?

A. 全部で11個あります。管理業者の名前と登録年月日・登録番号、管理を任される賃貸住宅、管理業務の内容とやり方、報酬の額と払う時期・払い方、報酬に入っていない費用、再委託、責任と免責、定期的な報告、契約の期間、管理業務の内容を入居者に知らせること、契約の更新と解除です。

Q. 重要事項の説明の書面を、メールで送ってもいいですか?

A. オーナーの承諾があれば、紙の代わりに、メールなどの電子の方法で渡すことができます。承諾は前もって、送る方法の種類と中身を示して、書面か電子の方法でもらう必要があり、電話で頼まれただけでは足りません。また、オーナーが印刷して書面を作れて、書きかえられていないかを確かめられる形で送る必要があります。

Q. 重要事項の説明を、テレビ会議や電話でしてもいいですか?

A. テレビ会議では、映像と声でしっかりやりとりができること、原則として書面を前もって送っておくこと、説明を始める前に書面や映像・声の状態を確かめることを満たせば、説明できます。新しく契約を結ぶときの説明は、電話ではできません。すでにある契約の中身を変えるときは、オーナーから頼まれるなど、決められた条件をすべて満たせば、電話でも説明できます。

Q. 契約を更新するときも、重要事項の説明はいりますか?

A. 報酬の額など、契約の中身を変えて更新するときは、変わった事柄を、書面を渡して説明する必要があります。中身はそのままで契約の期間だけを延ばすときや、会社の中身は変わらずに名前だけを変えたような形だけの変更のときは、説明はいりません。

Q. 重要事項の説明をしなかったときの罰則はありますか?

A. 重要事項の説明をしなかったことについての罰則は、ありません。ただし、国土交通大臣から業務改善命令を受けたり、登録の取消しや1年以内の業務の停止の処分を受けたりすることがあります。なお、契約を結んだときの書面を渡さなかったときは、30万円以下の罰金の対象になります。

賃貸不動産経営管理士試験の過去問の解説を毎日3問、メールでお届けでします。

SNSでもご購読できます。